News for 2月 2011

28/02/2011/MON/五十九日目

一日中爆睡。

そして四日連続の完封。

「パ」裂を回避する最も確実な方法は、なんと言っても一日中寝ていることだ。

ここまでの成績。
積算上演日数:507日(±0)
終演まで:447日(-1)
終演見込み日:2012年5月21日(±0)

Posted: 2月 28th, 2011
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27/02/2011/SUN/五十八日目

『金閣寺』24公演目、博多キャナルシアター。

終演後、飛行機で帰宅。三日連続の完封。

ここまでの成績。
積算上演日数:507日(±0)
終演まで:448日(-1)
終演見込み日:2012年5月21日(±0)

Posted: 2月 27th, 2011
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26/02/2011/SAT/五十七日目

『金閣寺』22、23公演目、博多、キャナルシティシアター。

マチネとソワレを終え、夜は昨日食べたラーメンが絶品だったので、また同じ屋台へ。

昨日に引き続き完封。

ここまでの成績。

積算上演日数:506(±0)

終演まで:449(-1)

終演見込み日:2012520(±0)

しかし更新が1日滞ったので(5/12)、上演日数を1日加算。総計は下記の通り。

積算上演日数:507

終演まで:450

終演見込み日:2012521

Posted: 2月 25th, 2011
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25/02/2011/FRI/五十六日目

『金閣寺』21公演目、博多、キャナルシティシアター。

終演後、屋台でラーメン。さすがは博多、絶品。

そして今日は完封。

ここまでの成績。
積算上演日数:506日(±0)
終演まで:450日(-1)
終演見込み日:2012年5月20日(±0)

Posted: 2月 25th, 2011
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24/02/2011/THU/五十五日目

『金閣寺』のため、博多入り。

羽田空港行きのリムジンバスに乗る前に、慌ただしく腹を満たそうと、駅前のマクドナルドへ駆け込んだ。

マクドナルドの店員さん:「いらっしゃいませ、ご注文をどうぞ」

私:「えっとー、じゃあ、ダブルクォーターパウンダー・チーズ、セットで!」

地雷ワード、「ダブルクォーターパウンダー」、パ裂。

ここまでの成績。

積算上演日数:506日(+1)

終演まで:451日(±0)

終演見込み日:2012年5月20日(±1)

Posted: 2月 24th, 2011
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23/02/2011/WED/五十四日目

母の誕生日。アマリリスの鉢植えと、花柄のエプロンをプレゼント。

実家でささやかな誕生日パーティ。

三日連続の完封。

ここまでの成績。
積算上演日数:505日(±0)
終演まで:451日(-1)
終演見込み日:2012年5月19日(±0)

Posted: 2月 23rd, 2011
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22/02/2011/TUE/五十三日目

今日もオフ。

ニュージーランド、クライストチャーチでマグニチュード6.3の地震が発生。多数の死者が出ているとの報道。

昨日に引き続き完封。

ここまでの成績。
積算上演日数:501日(±0)
終演まで:448日(-1)
終演見込み日:2012年5月15日(±0)

しかし電気のない環境にしばらく滞在していたことで、更新が滞ったので、上演日数を4日分(5/3-5/6)加算。総計は下記の通り。
積算上演日数:505日
終演まで:452日
終演見込み日:2012年5月19日

Posted: 2月 22nd, 2011
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21/02/2011/MON/五十二日目

オフ。一日中家でのんびりゴロゴロ。

ほとんどあまり話さず、完封。

ここまでの成績。
積算上演日数:501日(±0)
終演まで:449日(-1)
終演見込み日:2012年5月15日(±0)

Posted: 2月 21st, 2011
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20/02/2011/SUN/五十一日目

まつもと市民芸術館にて『金閣寺』20公演目。今日で松本公演は終了。東京へ帰る。

終演後、楽屋口から外へ出ると、劇場裏は若い女の子たちでごった返していた。いわゆる「出待ち」の女の子たちである。ちなみに今日は主演の森田剛さんの誕生日。楽屋口のドアが開く度に、その場の空気が浮き足立つ。この特別な日に森田さんに会うことを心待ちにしているのだろう、皆、森田さん本人が出て来るのを固唾をのんで待ち構えていた。

そんな中へ出て行くのはなんだか気まずいものがある。誰のお目当てでもないくせに、舞台での存在感だけは大きい私は、言ってみればやたらと図々しい「ハズレくじ」なのだ。そんな私に残念そうな顔をしながらも手を振ってくれたり、お疲れさまでしたと声をかけてくれる子たちもいるのだが、案外私はこの微妙な空気を楽しんでいるのかも知れない。そんな空気の中、私は松本駅へ向かうためにタクシーに乗り込んだ。

せっかく信州に来たのだから、蕎麦でも食べたかったな…そんなことを考えているうちに、タクシーは松本駅へ到着。タクシー券を運転手さんに手渡し車を降りると、すぐ目の前に、まるで私のことを待っていたかのように、中々良い店構えの蕎麦屋があるではないか。腕の時計を見る。乗車予定のスーパーあずさの発車まで時間の猶予は20分。イケる。急いで食べればまだ間に合うぞ。心の中でガッツポーズを決めながら、私は一人、蕎麦屋ののれんをくぐったのだった。

店内に入った瞬間、私を見て目が点になっている二人の女性がいた。私はすぐにその二人が金閣寺を観に来ていたお客さんだと直感したが、あまり気にせず、席に着き、ざるそばを注文。

すると先ほどの二人のうちの一人の女性が私の席までやってきた。恐らく森田さんのファンの方だろう。舞台の感想や、ホーメイへの質問等々、蕎麦をすする私相手にいろいろ投げかけてきた。突然のことに当初は少々戸惑ったのだが、色々話していると、なんでもこの「パ」日誌を読んでくれているという。

私:「読んでくれてるんですか、ありがとうございます。でも最近、更新遅れててすみません…」

女性:「いろいろ大人の事情もあるかと思いますが、楽しみにしているので、ぜひ更新してください」

私:「え?大人の事情って何ですか?」

女性:「ジャニーズ事務所とかに、あまり舞台裏のことは書くな、みたいなことも言われてるでしょうし…」

私:「いえいえ、そんなことはまったくないですよ。私が書きたいことを好きに書いてます」

女性:「あ、そうなんですか」

私:「えぇ、だからこのことも書きますよ。東京に帰る前に後に立ち寄った蕎麦屋で、僕の「パ」日誌を読んで下さっている方に話しかけられたって」

地雷ワード、「パ」日誌、パ裂。

まったく、自分の作品の名前も言えないなんて…。

ここまでの成績。
積算上演日数:501日(+1)
終演まで:450日(±0)
終演見込み日:2012年5月15日(+1)

Posted: 2月 20th, 2011
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19/02/2011/SAT/五十日目

『金閣寺』18、19公演目。(まつもと市民芸術館)

まつもと市民芸術館は、サイトウ・キネン・フェスティバルの開催されるホールなだけあって響きが素晴らしい。設計は伊東豊雄とのこと。

今日はマチネとソワレの2公演。黙々と本番をこなし、完封。

しかし更新が滞ったので(4/29)、上演日数を一日加算。総計は下記の通り。

積算上演日数:500日(+1)
終演まで:450日(±0)
終演見込み日:2012年5月14日(+1)

Posted: 2月 19th, 2011
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18/02/2011/FRI/四十九日目

「金閣寺」松本公演のため、長野へ。
そして松本芸術劇場に到着し、明日の本番に向けての場当たり稽古。

1月23日付けの日誌に書いたように、「金閣寺」では、私が天井から吊されるシーン(舞台用語でフライング)があるのだが、地方公演で各地のホールを巡回するにあたり、テクニカルな理由から、フライングで天井から降りてくるという演出は断念せざるを得なかった。

結果的に松本公演からこのシーンは、私が高所によじ登って登場する、という形に変更されたのだが、その新たな演出を段取りで確認していた時のことである。

舞台で私は床を引きずるほどの長さの金のスカートをはいているのだが、マイクを片手に舞台装置をよじ登ろうとすると、どうしてもこれが邪魔になる。最悪、裾を踏んづけたまま上に登ろうとして転落する危険すらあり得る。

そこで私は考えた。

「うーん、やっぱりスカートを口にくわえるしかないかな…」

地雷ワード、「やっぱり」パ裂である。連続完封記録更新ならず。

だがしかし、地雷ワードは踏んだものの、スカートを口にくわえながら舞台装置をよじ登るアイディアは名案だった。

という訳でここまでの成績…

積算上演日数:498日(前日比 +1)
終演まで:449日(前日比 ±0)
終演見込み日:2012年5月12日(前日比 +1)

それに加えて、昨日いきなりノートPCが壊れてしまい更新が滞ったので、4月19日に発表した契約者様への陳謝状で約束した通り、上演日数を一日加算。総計は下記の通り。

積算上演日数:499日
終演まで:450日
終演見込み日:2012年5月13日

Posted: 2月 18th, 2011
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17/02/2011/THU/四十八日目

6日連続の完封!。連続完封記録更新である。

明日から『金閣寺』松本公演のため長野入り。

積算上演日数:497日(前日比 ±0)
終演まで:449日(前日比 -1)
終演見込み日:2012年5月11日(前日比 ±0)

Posted: 2月 17th, 2011
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16/02/2011/WED/四十七日目

オフ。一日中、家から出ず。溜めたデスクワークをこなす。

そして5日連続の完封。

5日連続の完封は、2月5日~2月9日の期間に続き、『「パ」日誌メント』始まって以来2回目。

積算上演日数:497日(前日比 ±0)
終演まで:450日(前日比 -1)
終演見込み日:2012年5月11日(前日比 ±0)

Posted: 2月 16th, 2011
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15/02/2011/TUE/四十六日目

久しぶりのオフ。
『金閣寺』が上演されていた同じ神奈川芸術劇場で、チェルフィッチュの『ゾウガメのソニックライフ』を観劇。

そして四日連続の完封。

積算上演日数:497日(前日比 ±0)
終演まで:451日(前日比 -1)
終演見込み日:2012年5月11日(前日比 ±0)

Posted: 2月 15th, 2011
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14/02/2011/MON/四十五日目

『金閣寺』17公演目。雪のバレンタインデー。

今日で横浜公演は終了。ここしばらく毎日のように本番だったが、今週末の長野公演まで少し休める。

バレンタインに「パ」ートナーがハンバーグをつくってくれる。
夜は二人で銀世界を散歩。

そして三日連続の完封。

積算上演日数:497日(前日比 ±0)
終演まで:452日(前日比 -1)
終演見込み日:2012年5月11日(前日比 ±0)

Posted: 2月 14th, 2011
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13/02/2011/SUN/四十四日目

『金閣寺』16公演目。横浜、神奈川芸術劇場。

昨日に引き続き、二日連続の完封。

積算上演日数:497日(前日比 ±0

終演まで:453日(前日比 -1

終演見込み日:2012511日(前日比 ±0

Posted: 2月 13th, 2011
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12/02/2011/SAT/四十三日目

『金閣寺』14、15公演目。(横浜、神奈川芸術劇場)

マチネとソワレ2公演。今日は高校の頃の同級生が観に来てくれた。
そして二日ぶりに完封。

積算上演日数:497日(前日比 ±0)

終演まで:454日(前日比 -1)

終演見込み日:2012年5月11日(前日比 ±0)

Posted: 2月 12th, 2011
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11/02/2011/FRI/四十二日目

『金閣寺』13公演目。終演後、アフタートーク。出席者は、宮本亜門さん(演出)、小野寺修二さん(振付)、伊藤ちひろさん(台本)、そして私の四名。私はラストシーンで体に金のペイントを施して出ているので、終演後、楽屋のシャワーで金を落とし、少し遅れてトークショーに参加する、という段取りになっていた。

カーテンコールを終え、楽屋に戻りシャワーを浴びていると、楽屋のスピーカーからトークショーの模様が聞こえてきた。始まったようである。

劇場というのは、各出演者が自分の出番を確認するため、舞台表の状況が映像と音声によって各楽屋にリアルタイムにモニターされる仕組みになっている。スイッチを切らない限り、トイレで用を足しているときや、シャワーを浴びているときでさえ、裏に舞台表の状況がダダ漏れで流れてくる。しかし自分がこれから参加するトークショーのやりとりを聞きながら、自分の裸をごしごしと洗うというのは、何とも奇妙なものだった。皆を待たせている。早く行かなければ…私は焦った。急いでシャワーからあがり、体もろくに拭かず、裸足のまま靴と靴下を抱えて楽屋を飛び出して、首からバスタオルを掛けた半裸の格好で、私はトークショーの行われている舞台に駆けつけた。

ふと皆の顔を見ると、トークの出席者も観客も目が点だ。私が着替え途中で壇上に上がったことに驚いているようである。人の目というのは不思議なものだ。たったさっきまで私は半裸で舞台にいたではないか。その私が再び半裸で舞台に出て来ただけだというのに…。そう思いながら自分に用意された席に腰掛けて、おもむろに靴下を履きながらトークに合流しようとしたのだが、それまでの話の骨は私のせいですっかり折れてしまったようだった。すみません。

トーク終了後はスタジオへ移動し、亜門さん立ち会いのもと、二幕のラストシーンで使う私の目のアップ映像の撮り直し。撮影は昔から友人である映像作家、掛川康典さん。

以前撮影したときは、軽くアイシャドウを入れただけで撮ったのだが、今回は目の周りを真っ黒に塗りつぶした状態で撮影したいという。つまり舞台上にプロジェクターで映像が映し出されたとき、私の目だけが浮かび上がるような風に撮影したいということだ。

撮影は和やかに進んだ。両目の目の周りを丸く黒で塗りつぶされた私の顔を見て笑うスタッフたち。最終的には目が画面いっぱいになるように撮影するので問題ないのだが、引きで見ると相当滑稽な顔になっているようである。ふと、このとき私の中で「パ」災報知器が働いた。ここで私が気をつけなければならないのはあの動物だ。そう、「パンダ」である。私の脳内で「バンダ」警報発令される。

掛川さん:「ははは、パンダみたいだね(笑)」

私:「…」

私の中で「パンダ」が最大の敵となっていることなど知る由もない掛川さんは、さらに続けた。

掛川さん:「あとなんか、こういうメイクするバンドいたよね(笑)」

こんな時、音楽好きはちょっとひねりの効いたレスポンスを返したいものである。ここで「キッス」や「マリリン・マンソン」を挙げるのは野暮だろう。しかしマニアック過ぎて伝わらなくては本末転倒。同世代ならこそばゆく感じられるであろう、絶妙なラインを狙うのがマナーというものである。

私:「うーん…MISFITS…!」

掛川さん:「ぎゃははは(笑)」

私:「うーん…アリス・クーパー!」

掛川さん:「あぁ、いたねー、なつかしー(笑)」

地雷ワード「アリス・クーパー」パ裂。

ここまでの成績…
積算上演日数:429日(前日比 +1日)
終演まで:387日(前日比 ±0日)
終演見込み日:2012年3月4日(前日比 +1日)

そしてこれに加えて、4月19日に発表した契約者様への陳謝状で約束した通り、2/10〜4/19更新延滞賠償分の「68日」を加算すると…

積算上演日数:429日+68日=497日
終演まで:387日+68日=455日
終演見込み日:2012年5月11日

Posted: 2月 11th, 2011
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10/02/2011/THU/四十一日目

『金閣寺』12公演目。

人は劇場という空間に何を求めて足を運ぶのだろう?。もちろんそれぞれ求めているものは同じでないと思う。しかし多かれ少なかれ、日常の「マンネリ」から抜けだして、どきどきするような非日常に身を投じたいという欲望を抱えてやってくるのではなかろうか。

だが、舞台に立つ側の人間からすると、こうも毎日、毎日、同じ劇場へ通い、同じ舞台に立ち、同じシーンを見ながら、同じタイミングで、同じ台詞を言い、同じ声を出すことを繰り返しているうちに、いやがおうにも非日常でなければならないはずの舞台が、月〜金で会社に通う勤め人のそれのように、「日常」的に感じられてきてしまうものである。公演を重ねるたびにどんどん進行していくその「平和ボケ」にも似た感覚との闘いが、「金閣寺」のようなロングラン公演に出演する出演者にとっては切実なものになってくる。

そのために私は毎回ほんのわずかだけ何かを変える工夫をする。
それはちょっとした気の持ち方だったり、声の出し方のような具体的なものだったりと様々だ。一昨日(11公演目)の舞台で私のその工夫とは「金太郎」になってみることだった。

金閣を象徴する存在である私は、舞台のラストシーンで体に金色のペインティングを施して華々しく登場することになっている。そのペインティングを施すのはメイクさんの仕事である。しかし一昨日、ラストシーンの出番の準備をする楽屋で、私はメイクさんから筆を奪い、自ら自分の腹の上に「金」の字を書いてみたのだった。

「金」の字を金閣そのものの形に見立て、岡本太郎の躍動感溢れる炎のような文字をイメージしながら、勢いよく筆を走らせる。しかし、鏡に映る自分の腹をキャンバスに思い通りの線を描くのは簡単ではなかった。

私の腹を見て苦笑いするメイクさん。そう、私の腹の上の「金」の字はまるで小学一年生の書いた文字のような出来映えだったのだ。

違う!。想ってたのと違う!。こんなはずじゃなかったのに…。
急いで描き直そうとも考えたが、すぐそこまで出番が迫っている。時間がない。

「じゃ、よろしくお願いしま〜す」

無情にも私を見捨てるようにメイクさんは楽屋を去っていった。仕方なくその日、私はその残念な姿のまま舞台に上がったのだった。

後で聞くところによれば、照明の具合で私の腹の上に描かれたそれが「金」の文字であるようには見えなかったとのこと。ほっと胸をなで下ろしただが、これに懲りて以後体のペインティングはメイクさんに任せようと思ったのだった。

そして本日12公演目の舞台裏。ラストシーンの出番を前に、金の塗料と筆をもって楽屋を訪れたメイクさんにこう言った。

「やっぱり、金太郎やめます…」

地雷ワード「やっぱり」パ裂。

というわけで、ここまでの成績…
積算上演日数:428日(前日比 +1日)
終演まで:387日(前日比 ±0日)
終演見込み日:2012年3月3日(前日比 +1日)

Posted: 2月 10th, 2011
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09/02/2011/WED:四十日目

『金閣寺』休演日。そして今日も完封。連続完封記録更新(5日連続)。

ここまでの成績…
積算上演日数:427日(前日比 ±0日)
終演まで:387日(前日比 -1日)
終演見込み日:2012年3月2日(前日比 ±0日)

Posted: 2月 9th, 2011
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08/02/2011/TUE:三十九日目

『金閣寺』11公演目。

今日は一幕最後のシーンで一瞬立ったまま意識を失ってしまった。しかし体が崩れ落ちる寸前に息を吹き返し、何食わぬ顔で「パ」フォーマンスを続けた。私が気を失っていたことは、誰も気付かなかったはずである。

そして今日も完封。連続完封記録更新(4日連続)。

ここまでの成績…
積算上演日数:427日(前日比 ±0日)
終演まで:388日(前日比 -1日)
終演見込み日:2012年3月2日(前日比 ±0日)

Posted: 2月 8th, 2011
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07/02/2011/MON:三十八日目

舞台『金閣寺』がはじまってからというもの、私の頭の中は三島の血塗られた言葉で染まりはじめている。その言葉は1970年11月25日に市ヶ谷駐屯地の総監室で流された血の温もりを、未だに保ち続けているように感じられてならない。

そして今日は『金閣寺』9公演目。

仕事を終え、劇場から帰宅した私は梶井基次郎の短編小説『檸檬』のことが気になっていた。そこで急遽「パ」ートナーをつかまえて、彼女を相手に『檸檬』を読んで聞かせる小さな朗読会を開く。もちろん「パ」の音はうまく避けながら。

『金閣寺』の中で溝口と柏木が、世界を変貌させるのは「行為」か「認識」かと言い争う場面があるが、それで思い出されたのがこの短編小説のことだった。丸善で自ら積み重ねた画集のてっぺんに一つの檸檬を置き去りにし、それを”黄金色に輝く恐ろしい爆弾”と「想像的に認識」することによって、心の中で現実の象徴たる丸善を爆破する男の話である。

舞台版『金閣寺』では省かれているが、原作で溝口は金閣寺を燃やす直前になって、柏木の言葉を思い出してこんなことを言うのだ。

”柏木の言ったことはおそらく本当だ。世界を変えるのは行為でなく認識だと彼は言った。そしてぎりぎりまで行為を模倣しようとする認識もあるのだ。私の認識はこの種のものだった。そして行為を本当に無効にするのもこの種の認識なのだ。してみると私の永い周到な準備は、ひとえに、行為をしなくてもよいという最後の認識のためではなかったか。”

私がこのところずっと気になっているのは、一度はこのように悟った溝口を、最後の最後に「行為」へと弾いた発条(ばね)のことである。そして劇団のように見える民兵を模した組織をつくったり、カメラの前で切腹の芝居をして見せたりすることで「ぎりぎりまで行為を模倣」していた三島(金閣寺の執筆も行為の模倣であったと思われる)を、最後の最後に「行為の模倣」から「行為」へと弾いた発条(ばね)のことである。

破滅的な瞬間にこそ、生命的な瞬間が訪れることは私も知っている。その生命的な瞬間を求めて私は自分のライブで心臓の鼓動を停めてみせるのだ。その時の私は「ぎりぎりまで行為を模倣」しているのだろう。そして自分自身を「行為」へと弾きかねない発条(ばね)は、やはり私の中にも潜勢していて、三島の言葉に向き合えば向き合うほど、その発条(ばね)が、三島の発条(ばね)と同じ振動数で共鳴しはじめ、破滅へと引っぱられているような気がして怖いのだ。

だからだろう。『檸檬』を読みたくなったのは。「ぎりぎりまで行為を模倣する認識」にも遠く及ばない、いたずらのような小さな「行為」を、想像力によって強大な「行為」にまで膨らませ、「認識」によってそれを現実化しながら、また日常へと戻っていく主人公。このところ破滅的引力を持った三島の言葉に引っぱられつつある私は、実際には破滅などせず、妄想を妄想で爆破して生き存えるこの主人公の姿に、何か救いのようなものを求めていたのだと思う。

このところ、私は命が惜しくなってきた。以前は破滅に身を投じるための理由をいつも探しながら生きていたのに、今の私は素直に生き存えたいと思っている。破滅的な瞬間以外にも生命的な瞬間はあるのか?という問いに、ある確信を持ちはじめているからだろう。そういえば、私は『「パ」日誌メント』の誓約書に、契約期間中、私が死亡してしまった場合のことを盛り込んでいなかった。誓約書に「死亡」の文字がないということは、すなわち私が生き続けることも暗に誓約されているということになるだろう。一生終わらないのではとも思えるこの「パ」フォーマンスを終えるまで、私には生き続ける義務があるのだ。

というわけで今日も完封。3日連続の完封は初めてである。連続完封記録更新。

ここまでの成績…
積算上演日数:427日(前日比 ±0日)
終演まで:389日(前日比 -1日)
終演見込み日:2012年3月2日(前日比 ±0日)

Posted: 2月 7th, 2011
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06/02/2011/SUN:三十七日目

『金閣寺』9公演目。

今日も黙々と本番をこなし、昨日に引き続き完封。

ここまでの成績…
積算上演日数:427日(前日比 ±0日)
終演まで:390日(前日比 -1日)
終演見込み日:2012年3月2日(前日比 ±0日)

Posted: 2月 6th, 2011
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05/02/2011/SAT:三十六日目

『金閣寺』。この日はマチネとソワレ、2回公演。黙々と本番をこなし、完封。

ここまでの成績…
積算上演日数:427日(前日比 ±0日)
終演まで:391日(前日比 -1日)
終演見込み日:2012年3月2日(前日比 ±0日)

Posted: 2月 5th, 2011
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04/02/2011/FRI:三十五日目

『金閣寺』5公演目。

公演終了後、ある方のご厚意により、キャスト全員、食事会に招待いただいた。場所は劇場近くの中華街。中華料理に舌鼓を打ちながら、隣に座っていた大東俊介さんと歓談する。

大東さん:「山川さんは結婚とかしないんスか?」

私:「うーん、前は結婚とか全然分からなかったけど、今は普通にしたいと思うようになりましたねぇ…」

大東さん:「子供とかは?」

私:「子供は欲しいなぁ。でも、日本の未来とか、太平洋地域の安定とか考えると心配もありますよね。あっ…」

ハっとして一瞬凍りつく私。それに対して喜々とした表情を浮かべる大東さん。

地雷ワード、「心配」、パ裂である。

大東さん:「オレ、結構、山川さんの”パ”いただいてますよね」

そうなのだ。大東さんのパっとした爽やかさのせいだろうか。一月二十二日にも私は大東さんに「パ」と言わされているのだった。

というわけで、ここまでの成績…
積算上演日数:427日(前日比 +1日)
終演まで:392日(前日比 ±0日)
終演見込み日:2012年3月2日(前日比 +1日)

Posted: 2月 4th, 2011
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03/02/2011/THU:三十四日目

昼:ハムロールサンド
夜:スパゲティアラビアータ

金閣寺四日目。黙々と本番をこなし、カーテンコールでも無駄口を叩かず、昨日に引き続き完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:426日(前日比 ±0日)
終演まで:392日(前日比 -1日)
終演見込み日:2012年3月1日(前日比 ±0日)

Posted: 2月 3rd, 2011
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02/02/2011/WED:三十三日目

昼:ナスのカレー

『金閣寺』休演日。一日中ほとんど寝て過ごしたため、完封。

ここまでの成績…
積算上演日数:426日(前日比 ±0日)
終演まで:393日(前日比 -1日)
終演見込み日:2012年3月1日(前日比 ±0日)

Posted: 2月 2nd, 2011
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01/02/2011/TUE:三十二日目

昼:たまごサンド
夜:ナスのカレー、玄米ご飯

『金閣寺』三日目。

今日もまたほぼ全席が女性で埋め尽くされていた。

そして終演後のカーテンコール。

主演で溝口役の森田さんが客席に向かって手を振った瞬間、それに反応して何千という手のひらが一糸乱れぬ恐るべき瞬発力で、一斉にひらめいた。大規模なマスゲームを見るようなその壮観な風景に、思わず感嘆の声をあげる私。

「うわーっ!すげーっ!」

驚きのあまり出演者である自らの立場も忘れて、隣に立っている岡本麗さんと中越典子さんに話しかけてしまう。

私:「すごいですねー!、”笑っていいとも”のアレができそうですねぇ!」

岡本さん:「えっ…?笑っていいとものアレって何ですか…?」

私:「ほら、タモリが指揮する”パンパンパンッ”っていうアレですよ!」

地雷ワード、”パンパンパン”、パ裂。

これは痛い。一度に三連「パ」ツである。観客を舞台の上から冗談のネタにした罰(ばち)があたったのだろう。

罰があたったついでに白状すると、実は私はこの舞台の最後にカーテンコールなどあるべきではないと考えていた。ラストシーンで金閣を燃やし終えた溝口が、虚構から現実、舞台から客席へと境界を越境し、アノニマスな存在として観客に同化していくあの余韻が、カーテンコールの存在によって、”リアリティ”を模倣するポーズで終わってしまうと感じたからだ。潔く超えられた境界は、超えられた状態のまま永遠化するのが美しい。ああいう終わり方をする以上、私にはカーテンコールが野暮に感じられて仕方なかったのである。

しかしそれ以前に尺然としないのは、そもそものこの舞台での私の役割である。配役クレジットでは、「鳳凰:山川冬樹」となっている。金閣の頂に据えられたあの鳳凰のことである。しかし台本で私の出る場面のト書きには「鳳凰」ではなく「金閣を象徴する男」と記されている。私は鳳凰役として鳥を演じているわけではないし、金閣役として建物を演じているわけでもない。いったい自分が何の役なのか、いまだにあやふやなままなのだ。

このあやふやさは、金閣の美というものが、主人公溝口の主観の中だけに描き出された実体なきものであり、そもそも配役という形で客体化しようのないものであることに根ざしているのだろう。宮本亜門版『金閣寺』において特に独創的なのは、ある種の”リアリティ”を装いつつも、一方ではこのような個人の主観の中だけに存在する、客体化しようのない妄想のようなものを、果敢にも客体化しようとしている点にあるのだと思う。この舞台を見た人の多くは、私という存在による金閣の美の客体化を「擬人化」あるいは「象徴化」という言葉を使って表現するが、「擬人」というならもっとペラペラと人の言葉で台詞を喋ってもよさそうなものだし、「象徴」というには私の存在はまがまがし過ぎる。ここでは実体のないものに、まがまがしく具体的な人の形が与えられているばかりか、それがさらに崇められているという意味で「偶像化」という言葉が最も的を射ていると思われる。つまり、この舞台での私の役割とは金閣の美の「偶像」として、英訳すれば、溝口の”idol”として存在することなのだ。

しかしカーテンコールになった途端、劇中で溝口に崇められるべき”idol”は、見事にその座を引きずり降ろされてしまう。そして突如として底辺で虐げられていた溝口が華々しい”idol”に…、物語になぞらえて言えば、まさに”金閣”そのものに変貌するのである。いつの間にか私はこのカーテンコールでの劇的な下克上を、舞台で繰り広げられる演劇の延長として楽しむようになっていた。溝口が金閣になったなら、引きずり降ろされた私は溝口か?。いやいや、そうではないだろう。私は”溝口役の人物”(つまり森田剛さん)を実体の伴った共演者として尊敬していても、溝口が金閣を愛するような形で愛してなどないからだ。

溝口は非常に強いエネルギーをもって、金閣に耽溺し、理想を重ね、生きる生きがいとして崇め、執着し、自らを支配させていた。金閣を燃やさねばならなかったのは、その強烈な想いゆえである。溝口の行為は社会的規範で考えれば犯罪として認識されるが、エネルギーにはそもそも善悪などないのだ。原子核融合によって生じるエネルギーが、太陽の恵みとしてこの星を存続させている一方で、大量破壊兵器としてこの星を滅ぼしかねないように、エネルギーとはその最終的な現れ方の形によって、結果的に善悪に分別されるに過ぎない。

言うまでもなく、ここで金閣へと向けられた溝口の強烈なエネルギーと重なるのは、”溝口役の人物”へと向けられた数千もの女性客たちの熱愛のエネルギーである。客席を埋め尽くす彼女たちは、ちょうど溝口が金閣に対してそうであったように、主演の森田さんに耽溺し、理想を重ね、生きる生きがいとして崇め、執着し、自らを支配させているように見える。そしてそのエネルギーは本質的には良いも悪いもない、ただのエネルギーなのだ。だからこそ私は、とてつもないエネルギーがただそこに存在していることに、驚かされ、感心し、興味深く傍観するのだろう。つまるところ、先に書いた「うわー!すげー!」という正直な感嘆が示しているように、カーテンコールの場において私は舞台に立ちながらも、いつの間にか「観客」に変貌しているのである。

溝口が金閣となり…、観客が溝口となり…、金閣が観客となる…。

最後の最後に三者の間で立場が交換されるという、この三面鏡のような構造を持ったからくりを仕組んでみせる宮本亜門さんという人は恐るべき演出家である。この大どんでん返しを前には、溝口が観客に同化するというラストの演出を”リアリティ”を模倣するポーズだと疑問を抱く私の視点など、もはや偏狭なものでしかないだろう。やはり、この作品にはカーテンコールはなければならないし、客席は森田剛ファンで埋め尽くされなければならないのだ。

チラシの宣伝文句には「今という時代を生きるすべての人に、生きる目標・意味について切実な問いを投げかける」とあるが、その問いかけは劇中の芝居によってではなく、こうしたメタレベルで引き起こされる一連の現象によって果たされているように思われる。「金閣を生きる目標・意味」とする溝口の姿が、「天皇を生きる目標・意味」とした三島の分身であることは明らかだ。”無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国”となった現在の日本において、溝口と三島の姿に、「”溝口役の人物”を生きる目標・意味」とする女性客たちの姿を、劇場空間で直接重ね合わせてみせる試みこそが、この舞台における”リアリティ”への態度であり、最も重要なコンセプトとなっているのは間違いない。

さて、公演を終えて自宅に帰ると、台所のテーブル上に何やら得たいの知れない黄色い物体が入ったボウルが放置されていた。「パ」ートナーの仕業だろう。さては私が帰る少し前まで黙々と料理の研究していたようである。一見しただけでは、その奇妙な黄色い物体が、トロトロの液体であるのか、はたまたフワフワの個体であるのか判別できなかった。別室でごろごろしている「パ」ートナーに、大きな声でその物体の正体を問いただす。

私:「ねぇ!この黄色いの何?蒸しパン?」

地雷ワード、”蒸しパン”、パ裂。

結局正解は、トロトロの液体、失敗したシチューだった。「何言ってんの?どう見てもシチューじゃん」と突っ込まれる私。

というわけで、ここまでの成績…。
積算上演日数:426日(前日比 +4日)
終演まで:394日(前日比 +3日)
終演見込み日:2012年3月1日(前日比 +4日)

Posted: 2月 1st, 2011
Categories: パ日誌
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