20/02/2011/SUN/五十一日目

まつもと市民芸術館にて『金閣寺』20公演目。今日で松本公演は終了。東京へ帰る。

終演後、楽屋口から外へ出ると、劇場裏は若い女の子たちでごった返していた。いわゆる「出待ち」の女の子たちである。ちなみに今日は主演の森田剛さんの誕生日。楽屋口のドアが開く度に、その場の空気が浮き足立つ。この特別な日に森田さんに会うことを心待ちにしているのだろう、皆、森田さん本人が出て来るのを固唾をのんで待ち構えていた。

そんな中へ出て行くのはなんだか気まずいものがある。誰のお目当てでもないくせに、舞台での存在感だけは大きい私は、言ってみればやたらと図々しい「ハズレくじ」なのだ。そんな私に残念そうな顔をしながらも手を振ってくれたり、お疲れさまでしたと声をかけてくれる子たちもいるのだが、案外私はこの微妙な空気を楽しんでいるのかも知れない。そんな空気の中、私は松本駅へ向かうためにタクシーに乗り込んだ。

せっかく信州に来たのだから、蕎麦でも食べたかったな…そんなことを考えているうちに、タクシーは松本駅へ到着。タクシー券を運転手さんに手渡し車を降りると、すぐ目の前に、まるで私のことを待っていたかのように、中々良い店構えの蕎麦屋があるではないか。腕の時計を見る。乗車予定のスーパーあずさの発車まで時間の猶予は20分。イケる。急いで食べればまだ間に合うぞ。心の中でガッツポーズを決めながら、私は一人、蕎麦屋ののれんをくぐったのだった。

店内に入った瞬間、私を見て目が点になっている二人の女性がいた。私はすぐにその二人が金閣寺を観に来ていたお客さんだと直感したが、あまり気にせず、席に着き、ざるそばを注文。

すると先ほどの二人のうちの一人の女性が私の席までやってきた。恐らく森田さんのファンの方だろう。舞台の感想や、ホーメイへの質問等々、蕎麦をすする私相手にいろいろ投げかけてきた。突然のことに当初は少々戸惑ったのだが、色々話していると、なんでもこの「パ」日誌を読んでくれているという。

私:「読んでくれてるんですか、ありがとうございます。でも最近、更新遅れててすみません…」

女性:「いろいろ大人の事情もあるかと思いますが、楽しみにしているので、ぜひ更新してください」

私:「え?大人の事情って何ですか?」

女性:「ジャニーズ事務所とかに、あまり舞台裏のことは書くな、みたいなことも言われてるでしょうし…」

私:「いえいえ、そんなことはまったくないですよ。私が書きたいことを好きに書いてます」

女性:「あ、そうなんですか」

私:「えぇ、だからこのことも書きますよ。東京に帰る前に後に立ち寄った蕎麦屋で、僕の「パ」日誌を読んで下さっている方に話しかけられたって」

地雷ワード、「パ」日誌、パ裂。

まったく、自分の作品の名前も言えないなんて…。

ここまでの成績。
積算上演日数:501日(+1)
終演まで:450日(±0)
終演見込み日:2012年5月15日(+1)

Posted: 2月 20th, 2011
Categories: パ日誌
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