「パ」日誌メントFAQ

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Q:なぜ他の音でなく「パ」なんですか?
A:それはいずれ明らかになる日が来ると思います。今は何とも言えません。

 

Q:なぜこんなことを始めたのですか?
A:僕は自分の表現活動の対価を、主にパフォーマンスによる出演料という形で受け取ってきた人間なので、そもそも個人コレクターに作品を販売しようと考えたことがありませんでした。しかし2010年、とあるアートフェアに販売可能な作品を出品して欲しいとの依頼を受け、そこで売りに出そうと思ったのが自分の発声する「パ」という音節でした。当初は、人の「パ」に100万円も出す人などいないだろうと思っていたのですが、実際に買い手がついてしまい、2011年1月1日から「パ」という音節を口にすることができなくなったというわけです。また、こうしたきっかけとは別にもっと重要な動機があるのですが、それはゆくゆく明らかにしていくつもりです。

 

Q:「パ」と書くこともできないんですか?
A:僕が売ったのは、僕が発声する「パ」という音なので、いくらでも書くことはできます。

 

Q:一人でいるときに「パ」と口を滑らせてしまっても、言わなきゃバレないですよね?
A:この作品において僕の発声する「パ」という音節は信用貨幣として機能しています。そしてまず自分の「パ」の価値を保証する立場である僕自身が、マルクスが言うところの”貨幣の物神性”ならぬ、”パ声の物神性”に囚われた崇拝者なのです。ですから僕にとっては、ズルをして得られる楽よりも、この「パ」の価値を信じ続けることの方がずっと価値のあることなのです。

 

Q:外国語を話すときにはどうするんですか?
A:例えば英語には【pʌ】、【pə】、【pæ】、【pa】など、日本語の「パ」にあたる発音が何種類もありますが、外来語の慣例でカタカナにした時に「パ」を含む単語はすべてアウトになります。つまり「Japan【ʤəpæ’n】」は「ジャパン」となるので、これを口にした場合はアウトです。しかし例えば郷ひろみをイメージし、「Japan」という単語を「ジャペァーン」という風に、異なるシニフィアンとして意識しながら発音した場合はセーフになります。この意識なく発音した場合は、聴覚的にどんなに郷ひろみ風に訛って聴こえてもアウトです。

 

Q:いつまで続くのですか?
A:これは僕にも分かりません。一生終わらないかも知れません。

 

Q:もし終わる前に死亡してしまった場合はどうなるのですか?
A:これは現時点で誓約書にも記載されていないので、僕が死亡する前に「パ」を購入された買い主さんと協議しなければならないですね。負債を子供に相続させるようなことはできれば避けたいのですが…。