News for 9月 2011

30/09/2011/FRI/二百二十九日目

ツアーの疲れを癒すため、家でのんびり。

昼すぎ、福島浜通りを震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:855(±0)
終演まで:582(-1)
終演見込み日:2013年5月3日(±0)

Posted: 9月 30th, 2011
Categories: パ日誌
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29/09/2011/THU/二百二十八日目

香港でトランジットして、日本時間の夕方に帰国。成田から高速リムジンバスで帰宅。

未明、福島県沖を震源に震度3。夜、福島県沖を震源に震度5強。とんでもないところへ帰ってきてしまったという思いと、なんだかほっとする思いとが入り交じる。今日は完封。

ここまでの成績

積算上演日数:855(±0)

終演まで:583(-1)

終演見込み日:201353(±0)

Posted: 9月 29th, 2011
Categories: パ日誌
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28/09/2011/WED/二百二十七日目

窓から差し込む光で目が覚める。フェルメールやレンブラントの描いたオランダの光。ここは平穏だ。ここを出るのは名残惜しい。しかし今日は自分の家へ帰らなければ。

荷造りを終え、宿を後にして、タクシーを拾いスキポール空港へ。

つかまえたタクシーの運転手はやたらと好奇心旺盛な人で、よしなしごとを根掘り葉掘り聞いてきた。時々乗せる異邦人との交流がどうやら日々の仕事の楽しみらしい。日本のお金が見たいというので、財布から五円玉を出して見せてやる。えらく感動する運転手。穴の空いたコインは世界的にも珍しいというので、あげるよ、と言って手渡すと、日本ほど素晴らしい国はない!と言い出す始末。こんな風に5円玉が100ドル札並みの価値を持ちうることもある。おかげでチップは安く済んだ。

空港に到着。自分の乗るCATHAY PACIFIC航空がどのターミナルから出るか定かでなかったので、タクシーを待たせて、確認しに行くことにした。運転手に向かって言う。

「Wait here. I want to make sure where my flight departs」

地雷ワード「depart」、パ裂。

「CATHAY PACIFIC」という航空名には心の中で予防線をはっていたのだが、オランダ出国目前にだめ押しのパ裂。

ここまでの成績…。
積算上演日数:855(+1)
終演まで:584(±0)
終演見込み日:2013年5月3日(+1)

Posted: 9月 28th, 2011
Categories: パ日誌
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27/09/2011/TUE/二百二十六日目

アムステルダム四日目。今日は敢えてトラムを使わずに、街をひたすら歩く。

宿から1時間半ほど歩くとダム広場へ着いた。その名の通り、ここにはかつてアムステル川をせき止めるダムがあった場所で、アムステルダムの市名はここに由来するらしい。広場の塔の周辺は、60年代から70年代にかけてヒッピーたちの溜まり場となったそうで、ごろごろと寝そべる彼らの姿があしかに見えたことから「あしかの丘」とも呼ばれているとか。僕が訪れたときは、たまたまブラジル移民たちがビリンバウとパンディロを打ち鳴らしながら、鮮やかな格闘の舞に踊り興じていた。まさかオランダでカポエイラを見られるとは。

しばし跳躍する黒い肉体に見とれた後は、今回のアムステルダム訪問で一番行きたかった『アンネ・フランクの家』へ。『アンネの日記』で有名なアンネ・フランクが、第二次大戦中ナチスから息を潜め、身を隠していた家がそのままの形で残された場所である。それにしてもここは強烈だった。クリスチャン・ボルタンスキーの作品も、この究極的にサイトスペシフィックなインスタレーションの前では霞んでしまうだろう。決して霊感が強いわけでもない僕さえも、この淀んだ空気に棲みついた何者かの気配に目眩がして、気を確かにもっていないと意識を失いそうになるほどだった。

アンネ・フランクの家を後にし、「Patterns+Pleasure」フェスティバルの二日目を観るためFrascati劇場へ。グラスを片手にロビーでふらふらしていると、昨日の「パ」フォーマンスを観てくれていたのだろう、いろんな人が声をかけてくれて立ち話。

その中に東京に住んでいたことがあるという女性がいた。思えばどこかで会ったことがある顔である。東京のライブハウスかどこかだろうか。

僕:「Oh,Yes I remember you! so where are you from?」

女性:「I am from Finland」

僕:「Where in Finland?」

彼女は僕の質問に対し、聞いた事もない地名を答えた。そもそも会話を弾ませるために聞いてみたものの、フィンランドのどこ?と返したところで、フィンランドの地名なんて僕はヘルシンキと、地球で唯一、放射性廃棄物の最終処分場があるオルキルオト島ぐらいしか知らないのだ。ちょっとためらいながら、聞き返す。

僕:「er… Which part?」

女性:「Southern part.」

地雷ワード「part」、パ裂。

すると昨日出演していたアメリカ人のArthur&PunisherのArthurが通りかかり、会話に加わってきた。話題は日米のアヴァンギャルドな音楽シーンに及ぶ。Arthurは最近アメリカで観た「Maruosa」という日本のアーティストがいかに素晴らしかったかを力説してくれた。多くの所謂”一般的”な日本人は知らないが、日本のメジャーなアーティストのほとんどが国際的な評価に値しない一方、アンダーグラウンドな世界では国際的にリスペクトされ、活躍している日本人アーティストはとても多いのだ。Maruosaさんは以前同じイベントに出演したこともあるし、ダンサーの東野祥子ちゃんのダンスクラスで一緒に身体を延ばしたこともあるので良く知っている。Arthurは続けた。

Arthur:「そのときもう一人日本人が出てたんだけど、そいつはイマイチだったな。なんかバイクのヘルメットみたな黒いマスクをかぶって演奏するやつ」

黒いマスクをかぶって演奏?…。誰だろう。僕はまったく想像がつかなかった。そんなアーティスト日本にいたかなぁ。彼に聞き返す。

僕:「Is he Japanese?」

地雷ワード「Japanese」、パ裂。

「Patterns+Pleasure」フェスティバルの二日目の出演者は、NINA BOAS(オランダ)、JESSICA RYLAN(アメリカ)、EDISON(アメリカ)、ALEX NOWITZ(ドイツ)。昨日自分の出番が終わったので、リラックスしながら堪能する。

NINA BOASはジェーン・バーキンのようなフレンチポップスを歌いながら、デジタルな水森亜土といった赴きでアニメーションを描く「パ」フォーマンス。JESSICA RYLANはメガネをかけたGEEK面ながら、ボディコンシャスなワンピースにパンプス姿で、神経質そうに自作のシンセサイザーを弄り、何故か途中で泣き出してしまうなど、情緒不安定な所が良かった。EDISONは自作のサンプラーのパッドを叩いて、ブレイクビーツを繰り出しながらラップ。自作のサンプラーは良くできていたが、「パ」フォーマンス自体はイマイチ。ALEX NOWITZはwiiリモコンを使ってオケを制御しながら、クラシック声楽とパントマイムの素養を活かし、洗練された「パ」フォーマンスをみせてくれた。

終演後はタクシーで宿へ。

ここまでの成績…。
積算上演日数:854(+2)
終演まで:584(+1)
終演見込み日:2013年5月2日(+2)

Posted: 9月 27th, 2011
Categories: パ日誌
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26/09/2011/MON/二百二十五日目

アムステルダム三日目。起きて市街を散策した後、宿にもどって今日の「パ」フォーマンスのための準備。本番数時間前だというのに、アムステルダムの街に漂う空気はあまりにユルく、無駄にピースな気分になってしまってなかなかテンションに火がつかない。

メールを確認するためにノートパソコンを開く。ついでにtwitterを覗いてみる。すると、一昨日渋谷で行われた脱原「パ」ツデモの様子を伝えるツイートを見つけた。リンクをクリックすると、当日の写真を掲載したブログに飛んだ。プラカードに横断幕、幟や旗を掲げながら声をあげる東京の若者たち。よく見ると知り合いの姿もある。渋谷から遠く離れて、ディスプレイ越しに見るその姿があまりに眩しくて、自然と目頭が熱くなってくる。間違いなくこの人たちこそ、今、世界中で一番輝いている人たちなのだ。

人々の輝きに、心の底からふつふつと力が湧いてきた。よし、点火。今日の本番はいけそうだ。Frascati劇場へ入り、サウンドチェック&リハーサル。サウンドエンジニアはまさに”Dyke”といった感じの恰幅の良い強面の女性で、スタッフの男たちをアゴで使う姿はなかなか痛快。今日の「Patterns+Pleasure」フェスティバルの出演者は、GROUND(ベルギー,オランダ)、TOKTEK(オランダ)+Simon Berz(スイス)、Author&Punisher(アメリカ)、僕の合計4組。

告白すると、本番中、傷を負った日本の人たちのことが想えてきて何度か泣きそうになった。今まで祖国に想いを馳せて海外の舞台に立つことなどあり得なかったので、自分自身に驚かされる。しかし今日はとても澄んだ音を奏でられたと思う。「パ」フォーマンスが終わった瞬間、観客が返してくれた拍手もとても澄んでいた。きっと日本にいるみんなの気持ちが僕を媒介して伝わったのだろう。そう、こうやって世界は循環していくんだ。

しかしその一方、日本では地震が頻発。朝、茨城県北部で震度3。昼過ぎ福島県会津を震源に震度3。夕方、北海道浦河を震源に震度4。夜、茨城県北部を震源に震度4。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:852(±0)
終演まで:583(-1)
終演見込み日:2013年4月30日(±0)

Posted: 9月 26th, 2011
Categories: パ日誌
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25/09/2011/SUN/二百二十四日目

アムステルダム二日目。目が覚めてiPhoneで時刻を確認するともう昼すぎだった。ベッドから起き上がろうと身体に力を入れると、全身がピノキオのようにかちかちになっている。一昨日から昨日にかけて、40時間も横になる体勢をとれなかったためだろう。余裕をもって旅程を組んでおいて良かった。僕の「パ」フォーマンスの出番は明日。今日はのんびり過ごそう。

まずは街に繰り出して、通りに面したカフェで遅めのランチ。サンドイッチをほおばりながら、気になっていた山口県上関町長選の情報をiPhoneで確認。今回の上関町長選は、震災後の原「パ」ツ新設予定地では初めての首長選で、原「パ」ツ推進派の現職、柏原重海候補と、反原「パ」ツ派の新顔、山戸貞夫候補のどちらが勝つか、日本中がその票の行方に注目していた。結果は推進派の柏原候補が3選を果たし、勝利。それを知った瞬間、がっかりして力が抜けたのだろう。iPhoneがするり手からすり抜けて石畳の上に落下、画面がバリバリに割れてしまった。何とか電話としては使えるようなので、気を取り直して、アムステルダム国立美術館へ。

フェルメールは「光の画家」とよく言われる。しかし実際に実物を前にして見てみると、描かれた光景から豊かな音声が聴こえてくるので驚かされた。「トーキー映画は沈黙を発明した」と言ったのはロベール・ブレッソンだが、そういう映画的な沈黙の音声がきこえてくるのである。フェルメールは見るだけでなく、聴きながら描いていたに違いない。

アムステルダム国立美術館で数々の名画を鑑賞した後は、Frascati劇場へ会場下見に顔を出し、その後はぶらぶら散歩。宿へ戻って明日の「パ」フォーマンスに備える。寝る前に「パ」ートナーとSkypeでビデオチャット。日本からアムステルダムに向けておかしな踊りを踊ってみせてくれた。

昨日は派手に「パ」裂しまくったが、今日はほとんど一人きりだったことが功を奏して完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:852(±0)
終演まで:584(-1)
終演見込み日:2013年4月30日(±0)

Posted: 9月 25th, 2011
Categories: パ日誌
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24/09/2011/SAT/二百二十三日目

午前6時35分にアムステルダムはスキポール空港に到着。

到着ゲートにSTEIMのスタッフ、エッシャーが迎えて来てくれていた。いろいろ問題があって、午後5時まで宿にチェックインできないというので、とりあえずSTEIMのオフィスへ。

早朝の薄明かりの中、エッシャーの運転するプジョーの助手席から街の景色を眺めながら、僕は会話の種を探していた。

海外で仕事をするときは大抵、空港まで現地スタッフが車で出迎えに来てくれるのだが、空港から目的地へと向かう道中はいつも車内にシーンとした空気が漂う。会話というものは、互いに打ち解けてはじめて弾むもので、初めて顔を合わせたばかりの、言葉も、生活スタイルも、文化的背景も異なる者同士が、打ち解けるプロセスなしに物理的に密接な関係に置かれながら黙っているという、この状況にはいつまで経っても慣れないものだ。

お互い会話の種を探すのだが、共通の話題といったら今回のフェスティバルのことくらいしか見当たらない。そこで、今回のイベントにあたり、日本からCOMBO PIANOの渡邊琢磨さんや、山本達久さん、中原昌也さんなどのアーティストも来ると聞いていたので、シーンとした空気に一石を投じるように言ってみた。

僕:「Three more artists are coming from Japan, right?」

オランダ入国から1時間も経たない内に、地雷ワード、「Japan」パ裂。
(※英語を話す際の「パ」裂ガイドラインについては、2011年7月20日の日誌を参照されたし)

僕は心の中で「しまった!」と日本語で叫んだ。それと同時に苦虫をかみつぶしたような表情をしてしまったのだが、車の進行方向を見つめるエッシャーはそれに気づいていないようだった。

STEIMのオフィスに到着。STEIMとは、アムステルダムにある電子音楽・電子楽器にかかわる自主運営の研究施設で、今回、僕を招いてくれたのもSTEIMである。オフィスとはいってもギークたちが集うアパートメントといった風情で、中々居心地の良さそうのなところだ。エッシャーが入れてくれたコーヒーをすすりながら、窓の外を見ると、道路に面した運河に何層ものボートハウスが停泊していた。台風が来たときはどうするのだろう?と思ったが、オランダには台風は来ないのだとか。ふとデスクの上を見ると、今回のイベント「Patterns+ Pleasure」のスケジュール表がある。あ、これ欲しい、と僕は思った。

僕:「Can I have this paper?」

地雷ワード、「paper」パ裂。オランダ入国から2時間も経たない内に2回目のパ裂である。

バイリンガルの人なら分かると思うが、英語を話していると、自然に身振りもガイジンっぽくなってくる。話す言語が変わると、不思議なことにそれに付随してキャラも変わるのだ。思わず口を滑らせてしまったことに、僕は「Oh…」と言いながら、手を額にあてて首を振っていた。それを見て「いいけどそれオランダ語だよ…。ん?どうしたの?大丈夫?」というエッシャー。「い、いや、何でもない、大丈夫だよ」と答える僕。

宿にチェックインする午後5時までだいぶ時間があるので、時差ぼけを圧して散策に出かけた。ちょうどインディペンデントキュレーターの東谷隆司さんも、アムステルダムを訪れていると連絡があったのでカフェで合流。ブランチをとった後に、一緒にギャラリーde appleで展覧会を観る。東谷さんと別れ、広場のランプでスケボーに興じる地元のティーンをしばしぼーっと眺めてから、ゴッホ美術館にてゴッホを鑑賞。そしてその後、現代美術館、Temporary stedelijkへ行ったときのことである。

チケット販売のカウンターで、売り子の女の子に向かって…

僕「One person please」

地雷ワード、「person」パ裂。一日目にして3度目の「パ」裂である。

Temporary stedelijkの展示を観終えて外に出ると、道路沿いの運河の水面には夕日が反射していた。そろそろ宿にチェックインできる頃だろう。僕は気持ちのよい道を選びながら宿へと歩き始めた。ボートの上で団らんしながら、運河をゆらゆら揺られていく家族たち…。岸でひなたぼっこをしているカモのつがい…。なんと長閑な街だろう。今の日本に漂う張りつめた空気をのことを思うと、まるで夢のようである。

宿の住所が示す場所へ行くと、そこはホテルではなく、住宅街の中のアパートメントだった。中期滞在する人の為の、いわゆるウィークリーマンションのような宿である。気の良い大家さん親子が迎えてくれて、どこから来たのかと訪ねるので、僕は先ほどの失敗を繰り返すまいと「Tokyoから来ました」と答えた。すると大家さんは少し悲しそうな顔をして、地震と原「パ」ツ事故へのお見舞いの言葉をかけてくれた。さすがに風車の国なだけあって、オランダは風力発電は世界一なのだそうだ。オランダにある原「パ」ツは、ボルセラ原「パ」ツの一基のみとのことだった。

時差ぼけと旅の疲れのため、早めに床に入り、就寝。今日は「パ」裂しまくった一日だった。

ここまでの成績…。
積算上演日数:852(+3)
終演まで:585(+2)
終演見込み日:2013年4月30日(+3)

Posted: 9月 24th, 2011
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23/09/2011/FRI/二百二十二日目

午後6時25分発のキャセイ・パシフィック航空の飛行機で成田を発ち、香港でトランジット。日付が変わって、アムステルダム行きの飛行機の搭乗がはじまるまで、トランジットルームのベンチに座って思案にふける。こういうどこの国にも属さず、いかなる記憶も堆積しない宙ぶらりんな場所で孤独な時間を過ごしていると、自分の人生を外側から眺めているような、そんな気分になってくる。こういう時間は嫌いではない。

日本では早朝、福島県沖を震源に震度3。夕方、茨城県北部を震源に震度4。夜、岩手県沖を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:849(±0)
終演まで:583(-1)
終演見込み日:2013年4月27日(±0)

Posted: 9月 23rd, 2011
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22/09/2011/THU/二百二十一日目

昨日の凄まじい台風でからだの調子が狂っている。明日からアムステルダムへ発つというのに、背中が何だかどっと重い。少しずつチューニングしなければ。

今日はアトリエでアムステルダム公演のためのリハーサルと準備。

昼すぎ、茨城県沖を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:849(±0)
終演まで:584(-1)
終演見込み日:2013年4月27日(±0)

Posted: 9月 22nd, 2011
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21/09/2011/WED/二百二十日目

多摩美で授業の日。

北上していた台風15号が、帰宅ラッシュの時間帯に首都圏を直撃。鉄道が軒並み運休となり、多くの帰宅難民が発生。仕事に出ていた「パ」ートナーから、東急大井町線の中延駅まで来たものの、電車が動いておらず帰れないとの連絡があったため、大学の仕事を終えてから暴風雨の中を車で迎えに出動。

街路樹がざわめき、黒光りする路上の上を風が飛沫をあげて暴走する。普段は多摩川に生息しているところを吹き飛ばされてきたのだろう。国道2号線の車道のど真ん中で、一羽の哀れな鵜が羽根を広げて立ち往生していた。中延駅に着いて「パ」ートナーを救出(この表現は決して大げさでない)。大量の雨滴がフロントガラスの視界を遮る中を恐る恐る運転し、何とか家の近くまでたどり着くと、いつも使っている道路に大きな街路樹が倒れていて通行止めになっていた。来た道を引き返し、迂回してやっと帰宅。

報道によれば、台風はさらに北上し、震災被災地である東北地方を直撃、全国で16人が死亡、2人が行方不明とのこと。この自然の猛威に多くの人が半年前のことを思い出したはずである。今年はなぜ僕らをこんなにも自然災害が襲うのか。いずれにせよ思っていたよりもずっと僕らの文明社会というのは脆いようである。それが奇跡的に保たれた地球環境のバランスの上に乗っかる形で築き上げられていて、そのバランスが何かの拍子に崩れれば、僕らの文明社会もあっけなく崩壊し、簡単に機能不全に陥ってしまうということを、今の僕らは痛いほど思い知らされている。

夏目漱石の小説『吾輩は猫である』に登場する水島寒月のモデルになったともいわれ、 「天災は忘れたころにやってくる」 の名言で知られる地球物理学者の寺田寅彦は、日本人には「天然の無常観」 が備わっているとした。歴史的に度重なる大災害が日本人の無常の美意識を培ってきたことはよく言われるが、この説は寅彦に端を発するらしい。日本人が古くからこうした”天の「パ」ニッシメント”、すなわち「天譴」や「天罰」を畏れながら、自然と共生してきたことを、僕は今まで単に学校で習うような知識としてしか知らなかった。例えば、かつて高校の古文の時間に鴨長明の『方丈記』が取り上げられても、そこに綴られた大災害の記述は、昔の人のセンチメンタルな詠嘆にしか感じられなかったのだが、今年になって読み返してみると、鎌倉時代に記されたこの書物が、実に真に迫ったジャーナリズムのように読めてきて、現代の自分が実感を伴った共感を持てることに驚かされるのである。

当然のことながら今の僕らの文明社会は、”天の「パ」ニッシメント”を畏れながら自然と共生するという「日本近世」以前の考え方ではなく、人間から自然を分離し、対峙し、支配しようとする「西洋近代」の考え方を基盤にして形作られている。この「西洋近代」の恩恵によって僕らは、古くから苛まれてきた”天の「パ」ニッシメント”への畏れから開放されるはずではなかったか。しかしどこからどう見ても、原「パ」ツという西洋近代に端を発する最も究極的な技術は、時代遅れなはずの”天の「パ」ニッシメント”への畏れから僕らを開放するどころか、何倍にも畏れを増幅して僕らを苦しめているではないか。これは一体どういう罰なのか?。まったく冗談みたいな話ではないか。

風で暴れる街路樹のざわめきが、窓ガラスを叩き付ける激しい雨音が、地震で揺れる建物の軋みが告げている。もう一度「無常」への想像力を回復せよ、と。果たして僕らは近世以前への回帰でもなく、単なる西洋近代の否定でもない、新しい文明社会のあり方を創造することができるのだろうか。

早朝、宮城県沖を震源に震度3。茨城県北部を震源に震度5弱。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:845(±0)
終演まで:581(-1)
終演見込み日:2013年4月23日(±0)

しかし、日誌の更新が滞ったので(6/29~7/1、7/5)、上演期間を4日間延長。
積算上演日数:849
終演まで:585
終演見込み日:2013年4月27日

Posted: 9月 21st, 2011
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20/09/2011/TUE/二百十九日目

今週の金曜日からアムステルダムへ発つので、アトリエにてそのためのリハーサル。

震災後に海外へ出るのは、7月の『金閣寺』ニューヨーク公演以来なのだが、自分の足が日本の地からしばらくの間離れてしまうことを思うと、なんだか胸が締め付けられ、後ろ髪を引かれる思いがしてならない。震災前はこんな風に感じることはなかったのに。

震度3以上の地震は観測されず、今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:845(±0)
終演まで:582(-1)
終演見込み日:2013年4月23日(±0)

Posted: 9月 20th, 2011
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19/09/2011/MON/二百十八日目

渋谷で行われた脱原「パ」ツデモに参加。例のごとく、シュプレヒコールには参加できず、黙々と歩く。
今日は新宿でもデモがあり、6万人が集結。震災後最大級の脱原「パ」ツデモとなった。

未明、福島県沖を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:845(±0)
終演まで:583(-1)
終演見込み日:2013年4月23日(±0)

Posted: 9月 19th, 2011
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18/09/2011/SUN/二百十七日目

「パ」ートナーが動物をみたいというので、上野動物園へ。すっかりゴリラに魅せられてしまった。

今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:845(±0)
終演まで:584(-1)
終演見込み日:2013年4月23日(±0)

Posted: 9月 18th, 2011
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17/09/2011/SAT/二百十六日目

三宿のCAPSULEで開催の日英アーティストが参加する『CROSS COUNTER』展にてライブ。骨伝導マイクをつけた状態で観客の頭に頭突きした。

今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:845(±0)
終演まで:585(-1)
終演見込み日:2013年4月23日(±0)

Posted: 9月 17th, 2011
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16/09/2011/FRI/二百十五日目

夢の島、多目的コロシアムにて、飴屋法水さんの『じ め ん』を観劇。素晴らしかった。観劇後、「パ」ートナーと共に宙ぶらりんな心を抱えながら帰宅する道すがら、ふと夜空を見ると、月がとても眩しかった。そしてその月光を浴びる雲の流れはとても速かった。

今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:845(±0)
終演まで:586(-1)
終演見込み日:2013年4月23日(±0)

Posted: 9月 16th, 2011
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15/09/2011/THU/二百十四日目

「パ」ートナーに巷でよく聞くある言葉について、ふと気になって聞いてみた。

僕:「そもそもヘッドスパってどういうものなの?頭をマッサージしたりするもの?」

地雷ワード、「ヘッドスパ」、パ裂。

ちなみに「パ」ートナーは平日はヘアメイクアーティストとして撮影の仕事をしながら、土日は青山のサロンで美容師として働いている。”ヘッドスパ”とは、直訳すると”頭の温泉”という意味で、和製英語なのだとか。

未明、北海道浦河沖を震源に震度3。夕方、茨城県沖を震源に震度4。

ここまでの成績…。
積算上演日数:845(+1)
終演まで:587(±0)
終演見込み日:2013年4月23日(+1)

Posted: 9月 15th, 2011
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14/09/2011/WED/二百十三日目

多摩美で担当している講義「パフォーミング・アーツ論」、後期第一回目。本来ならば先週の水曜日が、第一回目の授業となるはずだったが、通勤中の交通事故で急遽休講にしてしまったので、今日が初回となった。400人近い履修者がいるマンモス講義である。

まず講堂のスクリーンに「パ」の字を大写しにして『「パ」日誌メント』について解説する。僕が「パ」と発音できないことを説明すると、講堂に笑いとどよめきが起こった。パフォーマンスについての講義で、担当講師が「パ」と発音できないなんて、まったく冗談もいい加減にしろと心の中で自分に呆れながらも、巧みに「パ」裂を避けて講義を終了。事故った車を預かってくれている自動車工場へ廃車の手続きに出向く。

たくさんの思い出を乗せた車を廃車にするのはやはり寂しいものだ。書類に印鑑を捺しながら肩を落とす。その自動車工場は、車の修理だけでなく販売もしているらしく、そんな僕の姿を見てか、営業さんが良い車があるので試乗してみませんか、と勧めてくれた。ふと見てみると、外に青いフォルクスワーゲンのバンが停められているではないか。周りの景色が映り込むほどピカピカに磨き上げられたボディーをみて、なんだか少し気持ちが明るくなる。確かに良さそうである。シートに座ってみると乗り心地もいいし、荷物も沢山積めそうだ。近所をぐるりと試乗してみると、静かだがよく走る。気に入った。値段もさほど高くない。

僕:「これ、何ていう車種なんですか?」
営業マン:「フォルクスワーゲンのパサートです」

一瞬、買ってもいいかなとも思ったが、車の名前を聞いて即却下。やはり名前に「パ」のつく車には乗れない。

早朝、茨城県北部を震源に震度3。夜、福島県沖を震源に震度3。

今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:795(±0)
終演まで:538(-1)
終演見込み日:2013年3月4日(±0)

しかし、「パ」日誌の更新が滞ったため(4/25~6/12)、上演期間を49日間延長。
積算上演日数:844
終演まで:587
終演見込み日:2013年4月22日

Posted: 9月 14th, 2011
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13/09/2011/TUE/二百十二日目

一日デスクワーク。

未明、北海道日高地方西部を震源に震度3。茨城県沖を震源に震度4。朝、茨城県北部を震源に震度3。

ここまでの成績…。
積算上演日数:795(±0)
終演まで:539(-1)
終演見込み日:2013年3月4日(±0)

Posted: 9月 13th, 2011
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12/09/2011/MON/二百十一日目

大学時代の恩師でもある港千尋さんのトークを聞きに3331 ARTS CYDへ。
日本では震度3以上の地震は観測されず。パプア・ニューギニアでM6.2。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:795(±0)
終演まで:540(-1)
終演見込み日:2013年3月4日(±0)

Posted: 9月 12th, 2011
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11/09/2011/SUN/二百十日目

アメリカ同時多発テロから早いものでもう10年。10年前は日本がこんなことになるなんて夢にも思っていなかった。アメリカ同時多発テロの約10年前にソビエトが崩壊したことを考えると、世界がひっくり返るような大事件というのは、10年に一度はごくふつうに起こるものなのだろう。

午後は「パ」ートナーの仕事仲間の家でホームパーティ。夜、千葉県北西部を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:795(±0)
終演まで:541(-1)
終演見込み日:2013年3月4日(±0)

Posted: 9月 11th, 2011
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10/09/2011/SAT/二百九日目

今日も交通事故の資料作り。

日付変わってすぐ、また北海道浦河沖を震源に震度3。午後、茨城県沖を震源に震度4。夕方、またまたた浦河沖を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:795(±0)
終演まで:542(-1)
終演見込み日:2013年3月4日(±0)

Posted: 9月 10th, 2011
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09/09/2011/FRI/二百八日目

一昨日の交通事故。僕と事故の相手の見たものが著しく食い違ってる。多分相手も嘘をついてるつもりはないのだろう。まるで映画『羅生門』のようだ。僕には僕の主張があるので、現場で写真をとり、グーグルマップの航空写真で正確な位置関係を確認。速度を割り出しながら、お互いの視界をシミュレーションして資料を作る。空走距離とか、制動距離とか、教習所でやったことを思い出しながら。

朝、一昨日、昨日に引き続き北海道浦河沖を震源に震度3、岩手県沖を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績。
積算上演日数:795(±0)
終演まで:543(-1)
終演見込み日:2013年3月4日(±0)

Posted: 9月 9th, 2011
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08/09/2011/THU/二百七日目

昨日の事故の影響で少し頭痛がするので病院へ行く。CTスキャンを撮った結果、脳には問題ないようで一安心。

午後は事故現場のすぐ近くにある日本盲導犬協会へ。事故現場では、車から脱出するのに手を貸してくださったり、交通整理を率先してやってくださったり、ここの職員の方に本当にお世話になったので、お菓子をもってお礼に出向く。

今月末に渡航を予定しているオランダで、マグニチュード4.5の地震が観測された。このような地震は10年から20年に1度あるかないかだそうで、地震慣れしていないオランダ人にとっては「かなりのショック」だったという。

未明、昨日に引き続き北海道浦河沖を震源に震度3。夕方、また浦河沖を震源に震度3。夜、香川県西部を震源に震度3、福島県沖を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:794(±0)
終演まで:543(-1)
終演見込み日:2013年3月3日(±0)

しかし「パ」日誌の更新が滞ったため(4/15)、上演期間を1日間延長。
積算上演日数:795
終演まで:544
終演見込み日:2013年3月4日

Posted: 9月 8th, 2011
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07/09/2011/WED/二百六日目

朝、アトリエへ行った後、車で多摩美後期最初の授業へ向かう道すがら、第三京浜都築インター付近のT字路で軽のバンと激しく衝突。ぶつかった瞬間、バックミラーに吊るしていた交通安全のお守りが外れ、助手席の床へと放物線を描きながらスローモーションで落下していくのが見えた。僕はその光景をぼーっと眺めながら気を失った。再び意識を取り戻すと、車内は煙が充満していて息苦しい。火災でも起きたのかと思ったが、どうやらエアバッグの火薬の煙のようである。事故現場に居合わせた人々に助け出される形で、車から脱出。

頭が少しぼーっとするものの、奇跡的に骨折やひどい打撲もなく、大学に交通事故のため今日の授業は休講にした旨、連絡を入れる。「パ」ートナーと母にも電話。しばらくして警察が到着して現場検証。大きな怪我はないので、物損事故として処理することに。しかし2003年に新車で買って以来、8年間乗って来た愛車、FIAT PUNTO ELXは廃車に。

朝、北海道浦河沖を震源に震度3。午後、熊本地方を震源に震度3。夜、再び浦河沖を震源に震度5強。
我ながら関心するのは、事故直後の相手方との会話や、警察による事情聴取の中でも、自分が落ち着いて「パ」裂を避けていたことである。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:787(±0)
終演まで:538(-1)
終演見込み日:2013年2月24日(±0)

しかし「パ」日誌の更新が滞ったため(4/7~13)、上演期間を7日間延長。
積算上演日数:794
終演まで:544
終演見込み日:2013年3月3日

Posted: 9月 7th, 2011
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06/09/2011/TUE/二百五日目

一日、デスクワーク。

震度3以上の地震は観測されず。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:787(±0)
終演まで:538(-1)
終演見込み日:2013年2月24日(±0)

Posted: 9月 6th, 2011
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05/09/2011/MON/二百四日目

インタビュー1本、打ち合わせ2本。

まずWebマガジン「Tokyo Art Navigation」のインタビューの中で、自分の活動の奇跡を話している際…。

「そのころ、心臓の鼓動のパフォーマンスをはじめたんですけど…」

地雷ワード「パフォーマンス」、パ裂。

その後、UPLINKでの展示のための打ち合わせ。倉持さんと現場で展示をイメージしながらゾーニングの検討をしている際…。

「うーん、ここに、パネルが来て…」

地雷ワード、「パネル」パ裂。

夜、福島県沖を震源に震度3。

ここまでの成績…。
積算上演日数:787(+2)
終演まで:539(+1)
終演見込み日:2013年2月24日(+2)

Posted: 9月 5th, 2011
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04/09/2011/SUN/二百三日目

実家で母と揃って「パ」ートナーにパーマとヘアカットをしてもらう。

早朝、埼玉県南部を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:785(±0)
終演まで:538(-1)
終演見込み日:2013年2月22日(±0)

Posted: 9月 4th, 2011
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03/09/2011/SAT/二百二日目

スタジオで作業。

震度3以上の地震は観測されず。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:784(±0)
終演まで:538(-1)
終演見込み日:2013年2月21日(±0)

しかし「パ」日誌の更新が滞ったため(4/2)、上演期間を一日延長。
積算上演日数:785
終演まで:539
終演見込み日:2013年2月22日

Posted: 9月 3rd, 2011
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02/09/2011/FRI/二百一日目

芸大上野校地にて、10月にやる発電をテーマとした展覧会のための打ち合わせ。

昼、宮城県沖を震源に震度3。アラスカではM7.1の地震があったとのこと。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:784(±0)
終演まで:539(-1)
終演見込み日:2013年2月21日(±0)

Posted: 9月 2nd, 2011
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01/09/2011/THU/二百日目

関東大震災のあった日。

明け方まで仕事で起きていてふと窓の外を見ると、外の世界が信じられないような琥珀色の光で満ちていた。

昼、茨城県沖を震源に震度3。今日は完封。

ここまでの成績…。
積算上演日数:784(±0)
終演まで:540(-1)
終演見込み日:2013年2月21日(±0)

Posted: 9月 1st, 2011
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