14/02/2012/TUE/四百十日目

東京都現代美術館の教育普及プログラム「アーティスト一日学校訪問」のため、都立葛西南高校で特別授業。

いつも観にきてくれるお客さんとはまったく違う、いわゆる「アート系」の共通認識や共通言語もたない高校生たちに、どれだけコアなものを伝えられるか、それが今回の勝負どころだった。僕が自分の「パ」を100万円で売ったことで、その音節を発声できなくなった経緯の説明にはじまり、ホーメイや数々の「パ」フォーマンスの実演に解説を交え、生徒たちにも実際に身体を使って参加してもらいながら、彼(女)らの感覚を開いていく。対象は高校2年生200人。110分の授業を2回。授業の終わりに質問を受け付けると、いくつか質問が出た後に、美術の先生からも質問をいただいた。

先生:「感覚を磨くためには、どのようにしたらいいでしょうか?」

僕:「うーん、そうですね…。たぶん、普段生活していて、理由もなく何かに惹かれることってあると思うんです。でも、その何かに惹かれているときの瞬間というは、とてもささやかなもので、多くの人がその瞬間をやり過ごしていると思うんですね。大切なのはきっと、そのささやかな瞬間をどれだけキャッチできるか…。なんて言うか、自分の周りを飛んでいる小さな虫を手でパッと捕まえるような感じで…、あっ!言っちゃった…」

地雷ワード:「パッと」、パ裂。

「おおおおぉ~!」と、一斉にどよめく高校生たち。

声を積極的に発することで、ヴォイス・「パ」フォーマンスが成立するならば、それを裏返して一つの音節を発声しないことでも声による「パ」フォーマンスが成立するのではないか、という冒頭での僕の問いかけに対し、「はぁ…」といった反応だった生徒たちも、このハプニングによって僕の言わんとすることがようやく腑に落ちたようだった。

帰宅して、ちび太をかごから出してやり、イランの古典声楽のCDをかける。イランの古典声楽には高度なこぶしの技術を駆使した「タハリール」という歌唱法がある。「タハリール」とは「うぐいすの声」という意味があるのだが、ペルシャの人々がこの「タハリール」唱法に込めてきた鳥の心に、ちび太の心もまた共鳴したのだろうか、実に楽しげにCDに合わせてさえずり出すちび太。僕も何だか楽しくなって、一緒に歌いたくなった。このときCDの歌のマネをして歌えば良いものを、ちび太があんまり可愛いので、思わずちび太の声を擬音語でマネて歌ってしまったのがまずかった。

僕:「♬ピッポッパッポッピッポッ!」

地雷ワード、「ピッポッパッポッピッポッ!(鳥のさえずり)」、パ裂。
28日連続の完封もここで途絶。1日で2回ものパ裂は久しぶりである。

昼、茨城県沖を震源に震度3。午後、茨城県沖を震源に震度3。夜、長野県北部を震源に震度4。

Posted: 2月 14th, 2012
Categories: パ日誌
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