30/01/2012/MON/三百九十五日目

『金閣寺』東京公演四日目。

SNOW Contemporaryの石水さんによれば、本日の『金閣寺』には僕の「パ」の買い主が、観劇にいらしたそうである。

劇は各役者が主人公、溝口のモノローグを代わる代わる読み上げる朗読劇のようなプロローグとともにスタートする。「金閣の象徴」という役を与えられている僕は劇中、一切人間の言葉を話さないのだが、このプロローグではたった二回だけ台詞を与えられていた。もちろん僕はこの『「パ」日誌メント』という「パ」フォーマンスを、舞台『金閣寺』の上演中も継続しているので、「パ」という音節を口にすることはできない。しかし2011年1月6日の日誌にも記した通り、当初僕に与えられた台詞には、「パ」という音節が事もあろうか二つも含まれていたのだった。こんな具合に…。

一般の人は、自由に言葉を操ることによって、内界と外界との間の扉を開けっぱなしにしておくことができるのに、私にはそれがどうしてもできない。

この「一般」という言葉も「開けっぱなし」という言葉も、そもそも原作である小説『金閣寺』にそのように記されていることに由来する。言うなれば三島由紀夫が「パ」裂を迫っているというわけである。しかし僕は悩んだ末に、昨年の初演の段階で、演出の宮本亜門さんに事情を説明し、無理を承知で下記のように台本を修正させていただいたのだった。

普通の人は、自由に言葉を操ることによって、内界と外界との間の扉を開け放しておくことができるのに、私にはそれがどうしてもできない。

今日、客席のどこかに座っていた僕の「パ」の買い主は、自分がこの劇から二つの「パ」の音を奪っていたことに気付いてくれたであろうか。

そして金閣が燃やされるラストシーン。「パ」の買い主が観劇にきてくださったので力が入ったのか、絶叫しながらセットから飛び降りる瞬間に僕は気を失って着地に失敗してしまった。幸い大事には至らなかったが、右手薬指を負傷し紫色に腫れ上がる。

未明、宮崎県日向灘を震源に震度4。
今日は完封。14日連続。

Posted: 1月 30th, 2012
Categories: パ日誌
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