16/03/2011/WED/七十五日目

未明、岐阜で震度3、静岡で震度3。早朝、岐阜で震度4、福島で震度3。朝、静岡で震度3、北海道で震度3、茨城で震度3、新潟で震度3、福島で震度3、千葉で震度3。昼、千葉で震度5弱、福島で震度4、岩手で震度3。夕方、福島で震度3。夜、宮城で震度4、茨城で震度4、福島で震度3。

午前9時から午後12時まで、第5グループの計画停電が敢行された。一気に辺りを静寂が支配する。それが来る、ということを覚悟していても、いざ本当に辺り一帯の電気が落ちた瞬間は衝撃的で面食らった。何もできないので、非常用のラジオをつけながら、ただ日当りの良い部屋で母、「パ」ートナーと一緒にお茶をすする。

今日、本来ならば私はパリに発っているはずだった。映画『We don`t care about music anyway…』に出演しているミュージシャンたちによるヨーロッパツアーが予定されていたのだ。しかし私は今回の原「パ」ツ事故を受けて悩みに悩んだ末、パリのオーガナイザーに下記のようなメールを送ったのだった。

Dear Jerome-san,
私は本当に長い間、考え続けていました。ご存知かと思いますが、私たちは歴史的な危機に瀕しています。悲しいことに日本が第二のチェルノブイリになる可能性があることは、今や否定できない事実です。フランス政府は日本在住のフランス人に3月17日までに、日本からの退避するよう勧告を出しました。
これは私にとって本当にタフな決断でしたが、私は今回の『We don`t care about music anyway…』のヨーロッパツアーに参加できないということをお伝えしなければなりません。私は家族や「パ」ートナーのそばで、彼(女)らと運命を共にすることを選びます。どうかお許しください。
フライトのキャンセル料をお知らせください。あなた方の活動が、ちょうど私の活動がそうであるように、インディペンデントであることを私は知っています。あなた方に負担をかけることは本意ではありませんので、どうかこの損失をカバーさせてください。
Best,
Fuyuki Yamakawa

ツアーは行きたかった。でも、これでいいのだ。遠い異国の地で、テレビを通じて日本の惨状を見ることにきっと私は耐えられなかっただろうから。そしてもし今のこの大切な時間を、大切な人たちと一緒に過ごさなかったとしたら、私はそれを一生後悔するだろうから。もう一つだけおまけに付け加えるならば、もしパリに行っていたら、私は「パリ」という地雷ワードを踏みまくっていたであろうから。
渡航予定だったメンバーの中で、ツアーをキャンセルする決断をしたのは大友良英さんと私の2名だったようである。

そして夕方、恐るべきことに昨日の菅首相の「国民へのメッセージ」に続き、今度は各テレビ局が一斉に天皇から全国民へ向けて史上前例のない「ビデオメッセージ」を放送。昨日の菅首相の「国民へのメッセージ」に玉音放送の亡霊を見たばかりだったが、ついに本当に玉音放送が発せられる事態となった。天皇からのメッセージは以下の通り。

”このたびの東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という例を見ない規模の巨大地震であり、被災地の悲惨な状況に深く心を痛めています。地震や津波による死者の数は日を追って増加し、犠牲者が何人になるのかも分かりません。一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています。また、現在、原子力発電所の状況が予断を許さぬものであることを深く案じ、関係者の尽力により事態の更なる悪化が回避されることを切に願っています。

現在、国を挙げての救援活動が進められていますが、厳しい寒さの中で、多くの人々が、食糧、飲料水、燃料などの不足により、極めて苦しい避難生活を余儀なくされています。その速やかな救済のために全力を挙げることにより、被災者の状況が少しでも好転し、人々の復興への希望につながっていくことを心から願わずにはいられません。そして、何にも増して、この大災害を生き抜き、被災者としての自らを励ましつつ、これからの日々を生きようとしている人々の雄々しさに深く胸を打たれています。

自衛隊、警察、消防、海上保安庁をはじめとする国や地方自治体の人々、諸外国から救援のために来日した人々、国内のさまざまな救援組織に属する人々が余震の続く危険な状況の中で日夜救援活動を進めている努力に感謝し、その労を深くねぎらいたく思います。

今回、世界各国の元首から相次いでお見舞いの電報が届き、その多くに各国国民の気持ちが被災者と共にあるとの言葉が添えられていました。これを被災地の人々にお伝えします。

海外においては、この深い悲しみの中で、日本人が取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時期を乗り越えることを衷心より願っています。

被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆が、さまざまな形で少しでも多く分かち合っていくことが大切であろうと思います。被災した人々が決して希望を捨てることなく、身体(からだ)を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、また、国民一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者と共にそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています。(以上)”

計画停電により信号機が停止したことで各地で交通事故が多発。群馬県では死者が出たとのニュース。

尚、今日のあらゆる会話の中で私は「原発」という言葉をすべて「原子力発電所」という言葉に置き換えることに成功、よって完封。

ここまでの成績…
積算上演日数:523日(±0)
終演まで:448日(-1)
終演見込み日:2012年6月6日(±0)

Posted: 3月 16th, 2011
Categories: パ日誌
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