31/01/2011/MON:三十一日目
昼:きのこ焼きそば
夜:オムライス
『金閣寺』三日目。
連日公演が続いていると、「パ」ートナーとの会話も当然『金閣寺』の話題が多くなる。少々愚痴めいた本音から、笑い話まで…、私たちは時間の許すかぎり語り合う。
そして今日の話題も『金閣寺』。会話の内容を要約すると…
『金閣寺』は私の今まで関わった舞台の中で、最も商業的な舞台であることは間違いない。まるでビルでも建ててるかのように一切の無駄を排して建設的に進められていく制作のプロセスは、私の知っている舞台が生み出されていくプロセスとは根本から異なり、当初は随分戸惑ったものである。
しかし、そんな私にとって一つの光明となったのが、主演の森田さんの存在だった。いつの間にか私は、森田さんの舞台にかける真摯な姿勢に応えることが、私の現場でのモチベーションとなっていたのだった。このような想いは、私だけのものではなく、舞台に関わっている人全員に共有されているものと思われる。そのことが舞台裏の空気にも肌で感じられる。
…私は「パ」ートナーに言った。
「森田さんが全体をやっぴゃり引っぱってるんだよね」
地雷ワード、「引っぱって」、パ裂。
一月十五日の日誌に記したように、私と「パ」ートナーの間では、地雷を踏むのを避けるため、「やっぱり」なら「やっぴゃり」、「パンツ」なら「ピャンツ」といった具合に、「パ」を「ピャ」と訛らせて発音する習慣が生まれていた。この法則でいけば、先の私の発言は…
「森田さんが全体をやっぴゃり引っぴゃってるんだよね」
…となるべきだったのだ。
私は「やっぱり」を「やっぴゃり」と訛らせることには成功していたが、訛りの狙いを「やっぱり」に定めることにばかり気を取られ、その直後に続く「引っぱって」を「引っぴゃって」と訛らせ損ねていたのだった。
というわけでここまでの成績…
積算上演日数:422日(前日比 +1日)
終演まで:391日(前日比 ±0日)
終演見込み日:2012年2月26日(前日比 +1日)