19/01/2011/WED:十九日目

昼:焼き肉、唐揚げ、マッシュポテト、昆布、梅干し、白米
夜:ぶた肉とナスのしょうが炒め、たまごスープ、納豆、たまご、玄米ご飯

芸大の日。

”東京”芸術大学とは言っても、私が勤務しているのは上野校地ではなく、茨城県の取手校地の方である。利根川の雄大な流れが一望できるのが最大の魅力だが、とにかく遠いのが難点である。自宅からドア・トゥ・ドアで車なら片道二時間、電車とバスなら二時間半、芸大に出勤する日はちょっとした旅の覚悟が必要だ。今までは車で通勤するのが常であり、一昨日、失効していた運転免許も取得し直したのだが、車なしの生活を続けていたことで電車通勤も悪くないと思えてきて、今日は線路に揺られてのんびりと通勤することにした。座れさえすれば日誌を書いたり思案にふけったりと、長い通勤時間を有効に使えるものだ。

冬の日は短い。大学での仕事を終え、今日一日地雷ワードを踏まなかったことにほっと安堵しながら、遥か遠方の自宅に帰るため、支度をする。コートを着込み、鞄をかつぎ、校舎の外へ出てみると、まだ午後六時前だというのに、辺りは闇に包まれていた。いつもなら自分の車に乗り込んで高速道路を飛ばして帰るのだが、今日は学生たちに混じって冬の冷気に身を縮め、真っ暗な停留所でバスを待つ。

すると、暗闇の中から私を呼ぶ声が聞こえた。目を凝らしてみると八谷和彦さんが立っている。八谷さんは一昨年急逝された渡辺好明先生の穴を埋める形で、今年から芸大に就任されたのだった。八谷さんとは以前から知り合いだが、芸大で合うのは今日が初めてだった。

バスが到着し、前後の座席に並んで座って八谷さんと会話する。私の脳内では例によって「パ」災報知器のセンサーが作動しはじめる。バスから電車に乗り換えて、取手駅から北千住駅へ向かう車内でも、脳は忙しく「パ」災を警戒しながらも、話は弾んでいった。大学のこと、アート全般のこと…。そして八谷さんともばったり会った飴屋法水さんの作品「わたしのすがた」のこと。「わたしのすがた」は私にとっても近年観た作品の中でも最も感動した作品で、作品のことを話しているうちについ夢中になり、例の言葉が口を滑ってこぼれ出た。

私:「やっぱり飴屋さんの作品って…」

地雷ワード、”やっぱり”、パ裂。

私:「あっ、今、僕、言ってしまいました…」
八谷さん:「えっ、何をですか?」
私:「ハに○のついた音をです…」
八谷さん:「はぁ…」

私は八谷さんに『「パ」日誌メント』について説明し、北千住の駅で別れた。

それにしても、やっぱりこの言葉である。これまで踏んだ地雷総数46回の内、11回、つまり24%をこの「やっぱり」が占める。

ここまでの成績…
積算上演日数:411日(前日比 +1)
終演まで:392日 (前日比 ±0)
終演予定日:2012年2月15日 (前日比 +1)

Posted: 1月 19th, 2011
Categories: パ日誌
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