17/01/2011/MON:十七日目

朝:コロッケカレー
夜:ラーメン、餃子、ビール

今日は失効した運転免許を再発行するため、早朝に起きて運転免許試験場へ出向く。私は違反運転者にあたるとのことで二時間の講習を受けねばならなかった。警察関係の施設というのはどうも苦手だ。よく分からない理由で受付の婦警さんに説教されるし…。しかし講習の担当講師は随分人情派で、悲しい交通事故の逸話を浪花節ばりの調子で語るものだから、思わずぽろぽろ泣かされてしまった。小さな子供が交通事故に巻き込まれるのはいたたまれない。先日は無免許で運転しようとしたけれど、やっぱり交通ルールは守ろう、と固く胸に誓ったのであった。

晴れて新しい免許を受け取り、午後は『金閣寺』の稽古場へ。

今日は衣装合わせだった。出演者たちがどんどん目に見えて本番らしい姿になっていく。その変貌ぶりを眺めているだけで面白い。今回の舞台では、舞踏集団『大駱駝艦』の方々ともご一緒するのだが、その大駱駝艦の中でも一番ガタイが良く、ドープな風貌の湯山さんが、少し猫背ぎみの姿勢でパーカーのフードを深々と被ったとき、ふとその背後にサウスブロンクスの風景が見えた気がした。

思わず唸る私。「おぉ~、思いっきりラッパーですねぇ…」

地雷ワード、”ラッパー”、パ裂。

そういえば昔「パラッパラッパー」というプレステのゲームがあったな…。確か「パラッパ」という犬がラッパーという設定で、ボタンを押してラップさせて遊ぶゲームだったような。で、その「パラッパ」のお父さんが「パラッパパパ」という名前だったような…。

そうこうしていると、仕事先の「パ」ートナーからメールが届く。泣きっ面の絵文字と共に「今日は朝からお腹が痛い」とのメッセージ。休憩時間に電話をかけてみると、電話越しの声はいつもより元気がない。

気がかりで唸る私。「うーん大丈夫?心配だね…。」

地雷ワード、”心配”、パ裂。

一昨日に続いてまたこの言葉か…。「やっぱり」に次いで警戒すべきは、この”心配”かも知れない。とりあえず「パ」ートナーには胃薬「ガスター」を飲むようアドバイスしてまた稽古へ…。

私はライブ「パ」フォーマンスで生きて来た人間なので、舞台では少々荒っぽくとも自分の身体を酷使するのと同じように、マイクという道具も酷使されて然るべきだと考えている。だから今日はあるシーンでマイクをゴトっという音とともに床へ落としたくなり、実際に通し稽古のときにやってみたのだが、音響さんからNGが出てとめられてしまった。それでも私はどうしてもそこでマイクは落ちるべきだと思ったので、思わず「こんなことではマイクは壊れません」と食い下がった。音響さんにとっては精密機器としてきちんと管理するのがマイクへの愛情なのだろう。しかし私にとってのマイクへの愛情とは、舞台の上で自らの一部としてそれと運命を共にすることである。マイクにとっては一体どちらが幸せなのだろう…。

私が普段愛用しているマイクは「SHURE BETA87A」というコンデンサーマイクだ。しかし今回は演劇という舞台の性格上、マイク類はすべて無線でなければならず、SENNHEIZERのSKM5200という本体に、MD5235という型番のカプセルをセットしたワイヤレスマイクを用意していただいている。あまりライブハウスなどでは見かけないタイプなので、ネットでいろいろ調べてみたところ、本体とカプセル合わせて60万円ほどする代物らしい。私の「パ」365日で¥1,000.000だから、ざっと計算すると、このマイク1本で私の「パ」219日分ということになる。なるほど音響さんが嫌がるのも無理はない…。

どうしたものかと唸る私。「うーん、そうですか…。”ごっぱち”みたいな訳にはいかないんですかねぇ…。」

地雷ワード、”ごっぱち”、パ裂。

「ごっぱち」とは丈夫なことで定評のある業界標準マイク「SHURE SM58」の通称である。そこらの楽器屋でも一万円足らずで買えるだろう。中には「ごーはち」と呼ぶ人もいるが、圧倒的に「ごっぱち」あるいは「ごっぱー」と呼ぶ人の方が多い。それはさておき、この「ごっぱち」にしろ、先の「ラッパー」にしろ、以前の日誌で論じた「やっぱり」や「引っぱる」に引き続き、今日も「っ」と「パ」の因縁的な結びつきによって苦しめられた一日であった。

積算上演日数:410日(前日比 +3日)
終演まで:393日(前日比 +2日)
終演見込み日:2012年2月14日(前日比 +3日)

Posted: 1月 17th, 2011
Categories: パ日誌
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