10/07/2013/WED/九百二十二日目
午前中は多摩美で担当している講義「パ」フォーミング・アーツ。今日は学生有志による「パ」フォーマンスの発表でした。
仕事を終えて帰宅すると、婦人科へ風疹検査の結果を聞きにいっていた「パ」ートナーから連絡がありました。
「遅かったね、大丈夫?」と僕。
「うん、ちょっといろいろあって、迎えにきてくれる?」と「パ」ートナー。
彼女の声はとても沈んでいました。これは何かあったな、と胸がざわついたのですが、とにかく病院まで車で駆けつけました。すると抜け殻のようになった「パ」ートナーが、辿々しい足取りで婦人科から出てきました。聞けば、しばらく病院のベッドで休んでいたというのです。
「一体どうした?」と聞くと、風疹の検診のついでに受けた子宮検査の結果を聞いてショックのあまり気を失ってしまった、家で話すと取り乱してしまいそうだから、どこかお店に入って話したいとのことでした。
僕らは行きつけのカフェバーへ入り、席に座りました。おそらく検診の結果が好ましくなかったに違いありません。一体どんな結果だったのか、僕は落ち着かない気持ちを抑えながら、憔悴しきった「パ」ートナーが話し始めるのを辛抱強く待ちました。
「パ」ートナーは紅茶を一口啜ったあとに、大きくため息をついてから言いました。
「右の卵巣に腫瘍がみつかったの」
大きさは5.1cm。良性か悪性か、細かく検査しなければまだはっきりとは分かりません。しかしどちらにしても、手術は避けられないとのことでした。卵巣は多少腫れても自覚症状がないため、「沈黙の臓器」と呼ばれるそうです。そして卵巣癌は宿主を静かに死に至らしめることから、「サイレントキラー」と呼ばれるのだとか。運良く良性だったとしても、いつ茎捻転を起こすか分かりません。その場合は卵巣を全摘出しなければならないでしょう。どちらにしても「パ」ートナーは下腹部に爆弾を抱えているのです。
もう一つ、彼女が心配していたのはお金の問題でした。「パ」ートナー曰く、手術代や入院費など諸々合計すると、多分20万円近くかかるだろうとのことでした。
僕は言いました。
「大丈夫、あの100万円があるから」
こういう形で「パ」を売った100万円に手をつけることになるとは正直、想定していませんでした。しかし、いずれにしても僕と「パ」ートナーとあなたの未来のために大切にとっておいたお金です。いいですよね?
震度3以上の地震は観測されず。今日は完封。