14/06/2013/FRI/八百九十六日

朝、早起きして新幹線に乗り岡山へ。岡山でこだまに乗り換えて三原からフェリーに乗って瀬戸内海に浮かぶ島、生口島へ向かいます。今日は8月に出演予定のフェスティバル、「生口島レモン共和国」の現場下見。家を出るときは灰色だった空も、フェリー(…と呼ぶにはあまりに素朴な船)に乗り込む頃には青く晴れ渡り、お天道様の光を反射する数多のさざ波は、クリスタルの破片が瀬戸内海に散らばっているように見えました。甲板ではスクリューを回すディーゼルエンジンの震動に揺られながら、おばあさんが昼寝しています。遠くにはひょうたんのような形した島が見えます。別の島の岸には、とてもきれいな白色をした灯台が立っています。もし灯台守として働く人生というのはどんな感じだろう…そんな空想を巡らせながら、僕は潮風に揺られていました。

そうこうしているうちに、フェリーが生口島の港につきました。そこは穏やかな時間が流れるとても静かな島でした。商店街の方へ歩きます。やはりこの商店街も不景気の煽りを受け、シャッター街と化しているのですが、暖かくのんびりとした瀬戸内の風土のせいか、暗い雰囲気は感じられません。フェスティバルスタッフと連絡をとり、ライブ会場となる予定の耕三寺へ。

この耕三寺という所がまたとても不思議な所なのです。第一、耕三寺といいながら正式には「寺」ではありません。なんでも大阪で鋼管製造業の経営をはじめた耕三寺耕三という人物が、軍需産業で莫大な財を成してつくったテーマパークのような所で、公的には博物館という扱いになるそうです。広大な敷地には、日光東照宮や平等院鳳凰堂、銀閣寺といった、日本中の歴史的建造物のレプリカが建ち並び、さらに瀬戸内海を望む高台には広さ5000平方メートルにも及ぶ、総大理石でつくられた「未来心の丘」という空中庭園があります。まさに大富豪の妄想の中の理想郷が、現実の形をもって存在しているようなところです。

少し前にアラブの大富豪が自分の名前を宇宙から読めるように、砂浜に刻んだというニュースがありましたが、浮き世のマネーゲームで莫大な財を成した人が、そのお金を浮き世離れした目的につぎ込もうとする、というのはよくある話です。多かれ少なかれ、アートマーケットもそのようなモチベーションによって動いていると言えると思いますが、耕三寺は日本におけるその最たる例と言えるでしょう。現に耕三寺は国宝級の美術品を数多くコレクションしていて、創設者、耕三のお孫さんである現館長(住職ではない)に、いろいろ見せていただきました。

下見と打ち合わせを終えて、島内と少しドライブ、夕食に瀬戸内名物のタコの天ぷらを食し、民宿で就寝。

インドネシアの南、ジャカルタの南の近海でマグニチュード6.7の地震が観測されました。日本では震度3以上の地震は観測されず。今日は完封。

フェリー

Posted: 6月 14th, 2013
Categories: パ日誌
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