08/05/2013/WED/八百五十九日目

多摩美で担当講義「パ」フォーミング・アーツ論。今日は「電気的に増幅される身体」をテーマに、骨伝導マイクによる実演と、ジミ・ヘンドリックスのエレキギターを対比させながら、ヒトラーのマイク、テレフンケンCMV3へと歴史を遡り、ナチスの拡声技術が現在のパフォーマンスの現場に与えた影響について取り上げました。

仕事の帰りに立ち寄ったハードオフで、思わず大正琴を衝動買いしてしまいました。ハードオフとは中古品販売のチェーン店なのですが、よく大正琴を置いています。値段は1000円〜7000円。おそらくお婆さんやお爺さんが弾いていたものが、本人が亡くなった後に流れてきているのでしょう。僕が買った大正琴は、ハードケースと一緒に、前の持ち主が手作りで作ったアップリケ付きの巾着がついてきました。裏面には「堀田節子」と名前がマジックで書いてあります。きっとお婆さんが大切に弾いてたのでしょう。
それにしても大正琴は奇妙な楽器です。何しろピアノとギターとタイプライターが合体しているのですから。民族音楽学者の権威、小泉文夫先生曰く、唯一の日本発祥の楽器らしいのですが、誰でも弾けるメカニカルな構造になっていて、はっきり言って表現力には乏しいです。平均率の採用や標準語整備といった明治期の国策の響きが聴こえてくるような、そんな音色です。しかし面白いことに僕が買ったものにはピックアップがついていて、アンプに突っ込めるようになってるんですね。ジミ・ヘンドリクスのようにノイズ楽器として扱うことで、日本の近代を脱構築していく、そんな面白さを感じています。

震度3以上の地震は観測されず、今日は完封。

Posted: 5月 8th, 2013
Categories: パ日誌
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