30/03/2012/FRI/四百五十五日目

朝、脱水症状とともに目が覚めました。身体を起こそうとしても中々起き上がれません。何もかも地球と同じに見えるのに、まるで重力だけ10倍の惑星に来てしまったようです。這うようにして病院へ行き、診察を受けると、案の定インフルエンザと診断されました。
病院を出て、駐車場の車の中で処方されたばかりのタミフルと解熱剤を飲むと、今度は身体がフワフワして、気を確かに保たないと何処かへ飛んでいってしまいそうでした。ジャック・タチの映画『トラフィック』は観ましたか?主人公たちがアポロ11号の月面着陸の中継をみて感化され、宇宙飛行士になりきってゆっくりと動く愉快なシーンがあるのですが、ちょうどあんな感じです。それでも何とかアートフェアの会場まで運転してたどり着き、昨日に引き続きタイベックスーツを着込んで、やり残した設営を完了させました。
今回の『原子ギター』の展示では、放射線源として会場となった国際フォーラムから歩いてすぐの、皇居外苑で採取した土を使いました。これは約0.2μシーベルトと、以前、アトミックサイト展で使った芸大取手校地で採取した土(2〜3μシーベルト)にくらべると大分線量が低いです。線量が低ぶん『原子ギター』の演奏も地味なものになるのですが、今回は音の派手さよりも、たとえ微量でも、皇居が汚染されているという事実を展示の要素として重視しました。
『原子ギター』は、電気の象徴であるエレキギターという楽器が、東京電力のつくる電気を喰らって活力を得ながら、東京電力がまき散らした放射能を耳に聞こえる形で露にしてしまうという、インフラと放射能をめぐる呪われたサイクルがコンセプトになった作品です。ですから『原子ギター』は東京電力管内で鳴らされることが前提となっており、その意味でサイトスペシフィックな性格を持っていると言えるでしょう。
東京電力の本社があるのも、やはり国際フォーラムのすぐ近くです(ちなみに東京電力は国際フォーラムの大株主でもあります)。今回の展示では、東京電力本社、アートフェア会場となっている国際フォーラム、そして皇居の3者が所在する数百メートル範囲を展示の場として設定し、『原子ギター』の、よりサイトスペシフィックな性格を強調したつもりです。
早朝、宮城県沖を震源に震度3。昼過ぎ、福島県沖を震源に震度3。夜、岩手県沖を震源に震度3。今日は完封です。
Posted: 3月 30th, 2012
Categories: パ日誌
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