25/02/2012/SAT/四百二十一日目

またあのヨウムに会いたくなって、「パ」ートナーと一緒にペットショップへいく。

カゴに近づき、声を出すとすぐさまヨウムは奥の止まり木からこちらに寄ってきた。僕のことを憶えていたようである。「パ」ートナー曰く、ヨウムは人を選ぶらしい。自分の心が通じる相手が直感で分かるのだそうだ。

しばらくヨウムとセッションにいそしみ、いい感じで落ち着いたところで、オオバタンのところへ行ってみた。ペットショップ内で放鳥されているのは、このオオバタンのみで、彼は2m近くもある大きなカゴの屋根の上から、まるで自分がこのペットショップの主であるとでも言わんばかりの態度で睨みを効かせていた。しかしこのオオバタンもストレスからか、毛引きがひどく、翼に柔らかな羽はほとんど残っていなかった。残された羽軸は、ひしゃげて何重にも折れ曲がり、貧弱なサンゴか、枯れた木の枝のようになって、彼の胴体の両脇から突き出していた。

値札を見ると、924,000円という金額が表示されている。このボロボロの鳥に、ちび太(1,980円)x466羽分の金銭価値があるとは…。

オオバタンの目をみながらホーメイを歌う。すると彼はカゴの屋根から、僕の目の高さのところまで、低い体勢でゆっくりと降りてきた。そして僕のホーメイを聴きながら少し右往左往したかと思うと、突然、冠羽を逆立てて、天を衝くような強烈な奇声をあげはじめた。どうやらホーメイがお気に召さなかったようだ。そのあまりの剣幕に、ペットショップ中の動物たちと人間たちの全員が一瞬にして凍り付き、店内がシーンとなってしまった。

そしてヨウムのところへ戻り、また少し遊んで、そろそろ帰ろうとカゴの前から立ち去ろうとしたその時である。

「バイバーイ」

低く乾いた男の声で、ヨウムがはじめて人間の言葉をしゃべった。

「オウム返し」という言葉があるように、インコ・オウム類は言葉の意味を理解せずにただ単に音を真似ているだけだという風に言われているが、それは誤解である。実際の彼らは、言葉の意味を理解し、状況に応じて使い分けることができるのである。

それにしても、ヨウムの「バイバーイ」という声は本当に不思議な声だった。それは「肉声」とも「録音された声」ともつかない独特の質感を持った声だった。

震度3以上の地震は観測されず。今日は完封。

Posted: 2月 25th, 2012
Categories: パ日誌
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