17/01/2012/TUE/三百八十二日目

『金閣寺』大阪での再演のため、キャスト揃って新幹線で移動する。今回も昨年3月と同じ梅田芸術劇場での上演である。大阪に着いてまずは、また昨年と同じホテル阪急インターナショナルにチェックイン。

チェックインを済ませ、ホテルの部屋に入った瞬間、昨年の3月11日午後2時46分に戻ってきたかのような錯覚にとらわれた。昨年泊まったのが何号室だったか正確には憶えていないので、もしかしたら別の部屋だったかもしれない。しかし部屋の間取りも、窓からの景色も、用意されたバスローブの肌触りも、枕の柔らかさも、天井の色も、津波の映像を映し出したテレビも、何もかも昨年と同じで、あの時のことがまざまざと蘇ってきたのである。

ホテルを出て劇場に入ると楽屋も昨年と同じだった。引き戸を開けるときの手応え、化粧台の照明の感じ、椅子の座り心地もすべて変わらなかった。部屋の角にはテレビが設置されている。原「パ」ツが爆発する様子を最初に見せられたのはこのテレビだった。

舞台へ上がる。当然、そこには昨年と同じ舞台セットが組まれている。そしてこのセットでまた昨年と同じ物語が繰り広げられるというわけだ。

こうも何もかもが同じだと、否応無しにすべての感覚がフラッシュバックしてくる。僕は揺さぶられ、何だか苦しくなり、自分が何年の何月何日に生きているのかわからなくなってしまった。実際のところ大阪は震度3だったので、体感した揺れの大きさ自体は大したことはない。しかしあの揺れは、自分が自覚しているよりもずっとひどく、この心の深い部分に火傷のような跡を残しているようだ。

昼、茨城県沖を震源に震度3。今日は完封。

Posted: 1月 17th, 2012
Categories: パ日誌
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