03/05/2011/TUE/百二十日目

朝、岩手で震度3。夜、福島で震度4、宮城で震度3。

今日から世間はゴールデンウィーク。

「パ」ートナーと朝4時に家を出て羽田空港へ。6時20分の鹿児島行きの飛行機に乗る。鹿児島空港到着後、港へ移動。鹿児島港から高速船に乗って屋久島へ。

私にとって屋久島は死ぬまでにいつか訪れようと思っていた特別な場所だった。そしてつい先週、ふと、その「いつか」が来たのを感じ、急に屋久島行きを思い立ったのだ。以前書いた通り、4月23日に私は壊れてしまったが、そこから新たに生まれ直すためには、”ここ”からいったん外へ出なければならない、そう私は感じていた。”ここ”の外とは具体的には、放射能の外、情報の外、首都圏の外…つまりは3月11日から続いている緊張の外ということになるのだが、それに加えて私が何より求めていたのは「時間の外」へ出るということだった。そしていつか訪れようと思っていた屋久島が、”ここ”から脱出して行くべきもっとも理想的な場所として、私の前に現れてきたというわけだ。

林芙美子の小説「浮雲」の一節に「屋久島は月のうち、三十五日は雨が降る」とあるが、島に着くとやはり雨が降っていた。港でレンタカーを借りうけ、島を一周する。ゴールデンウィークは年間を通して屋久島に最も多くの観光客が訪れる時期だという。しかし何故か道にはほとんど車が走っていない。沢山の観光客たちは、一体どこに隠れているのだろう。狐につままれたような気分。

山道を走っていると、「パ」ートナーが森の中に三頭のヤクジカがいるのを見つけた。車を停めてホーメイで歌いかける。すると好奇心旺盛な一頭が、耳をぴくぴくさせながら、黒々とした瞳で私を見つめ、ほんの数歩だけこちらへ近づいてきた。しばらくシカを相手にコンサート。すると山道を挟んで向かい側の森の中に人の気配を感じた。目を凝らすとそれは人ではなくヤクザルだった。サルにもホーメイで歌いかけてみる。が、無視…。

横河渓谷、大川の滝など、名所を点々と立ち寄りながら、島を一周しきる頃には、すっかり辺りは暗くなっていた。明日は午前3時半起きなので、午後9時半には就寝しなければならない。料亭でトビウオ料理を食して、キャンプ場へ。私たちが眠るのは祠(ほこら)のような形をした、広さ二畳ほどの簡素な小屋である。おそるおそる”祠”の扉を開けると、一匹の大きな黒蜘蛛が、天井からぼとりと落ちてきた。絶叫する「パ」ートナー。祠の主の出迎えだ。

ここには電気がない。携帯電話の電波も届かない。したがってweb版「パ」日誌の更新もできない。蝋燭の灯りを頼りに、ごそごそと明日の支度を済ませて、寝袋にもぐりこむ。「パ」ートナーに「おやすみ」と告げて蝋燭を吹き消すと、”祠”の中の小さな空間は、宇宙空間のように広大な闇へと一変した。

六日連続の完封。

ここまでの成績…
積算上演日数:543日(±0)
終演まで:420日(-1)
終演見込み日:2012年6月26日(±0)

しかし、更新が一日滞ったので(6/16)、罰則として上演期間一日延長。

積算上演日数:544日
終演まで:421日
終演見込み日:2012年6月27日

Posted: 5月 3rd, 2011
Categories: パ日誌
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